心のバリアフリー
平成26年度内閣府「障害者白書」によると、心身に何らかの機能障がいを持つ人は人口の6%、およそ16人に1人といわれています。しかし、日常生活の中で周りを見渡しても、そこまで障がいを持つ人がいるとは感じないのではないでしょうか。私たちが暮らす社会の中には、道路の段差や急な階段や坂道、施設に関する案内の情報不足など多くのバリアがあり、誰もが出かけやすい環境になっていないことがその原因の一つともいえるでしょう。
これまでは障がいのある人の社会参加に関しては、「本人に原因がある」とする「障がいの医療モデル」が基本として考えられてきました。しかし、現在では「社会に原因がある」とする「障がいの社会モデル」という考え方に変わってきています。
例えば、点字ブロックの上に自転車などの障害物があったとします。目の不自由な人が歩く場合、自転車に自ら気付き、自ら回避できるようになればよいという考え方が「障がいの医療モデル」です。点字ブロックの上の自転車を私たちが片付けて誰もがスムーズに通れる環境にするのが「障がいの社会モデル」の考え方です。この「障がいの社会モデル」を理解し、具体的な行動ができるよう心の在り方を変えていくことが「心のバリアフリー」です。
平成29年2月20日の「ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議」において「『障害』は個人の心身機能の障害と社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務である」とされました。「障がいの社会モデル」をすべての人が理解し、自らの意識に反映させ、具体的な行動をすることが重要です。現在、国は様々な自治体や組織と連携して2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に将来へのレガシーを残す活動を始めています。その一つに「心のバリアフリー」があり、「ユニバーサルデザインの街づくり」とともに、東京大会後の最大レガシーとなることを目標としています。
JTBグループでは昨年11月に「パラスポーツを通して考える『心のバリアフリー』シンポジウム」(主催:ジェイティービー、事務局・運営:JTB総合研究所、後援:横浜市・オリンピック・パラリンピック等経済界協議会・日本財団パラリンピックサポートセンター)を開催しました。パラスポーツやユニバーサルデザイン楽器の演奏体験、元パラリンピアンを招いてのシンポジウムの他、「心のバリアフリー」セミナーなど、多くの方に「心のバリアフリー」について考えていただく様々なきっかけを提供いたしました。本年も事業やシンポジウムを通じて「心のバリアフリー」に資する活動を深化させていきたいと思います。
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