観光業界と大学のコラボレーション
「シニアサマーカレッジ」に人気が集まっている。シニアサマーカレッジは大学施設を利用した50歳以上のサマースクールであり、受講者は2週間で20コマある地域や大学の特色ある講義の他に、図書館、コンピュター室などの大学施設を現役学生とほぼ同じ条件で使うことができる。
篠崎 宏 客員研究員
「シニアサマーカレッジ」に人気が集まっている。シニアサマーカレッジは大学施設を利用した50歳以上のサマースクールであり、受講者は2週間で20コマある地域や大学の特色ある講義の他に、図書館、コンピュター室などの大学施設を現役学生とほぼ同じ条件で使うことができる。
シニアサマーカレッジは新しい交流型教育プログラムであり、各大学では学長が自ら講義を行なうなど、カルチャーセンターでは満足しないリタイアメント層のための生涯学習の恰好の機会となっている。シニアサマーカレッジは、国立大学法人とJTBとの共同事業として2006年に山口大学、弘前大学の2大学でスタートしたが、2007年度は北海道大学、弘前大学、岩手大学、信州大学、岐阜大学の5大学に拡大された。JTBのみならず、近畿日本ツーリスト等の旅行会社も同様のプログラムを開始した。
2006年に64名、2007年に204名の参加者 があったシニアサマーカレッジの評価は極めて高く、講義のみならず、参加者同士が自発的に懇親会を開催し、自由時間を一緒に行動するなど、積極的な交流を行っている。
またシニアサマーカレッジは会員制をとっており、会員への情報提供や、参加者募集のための模擬講義を実施している。こうした取り組みが、2008年も続けて参加しようという受講者の意欲に繋がっている。
シニアサマーカレッジが実施される地元自治体から見ると、観光客のほとんどが一泊しか滞在しないなかで、受講生は2週間にわたり長期に滞在する観光客でもある。その意味でシニアサマーカレッジは、地域ファン作りのきっかけとしても期待されている。
少子高齢化が進む中、長期低迷が続いている国内観光活性化の糸口として、観光産業と大学のコラボレーションモデルへの期待は高い。シニアサマーカレッジは、国内観光活性化の4つのキーワード「長期滞在」、「地域色」、「学び」、「人」を全て包含した事業である。