20代の消費・旅行に関する調査結果第一弾(JTB総合研究所独自調査) ~20代は何にお金を使っているの?~
20代は日常生活で何にお金を使っているのか?どのような条件が揃えば旅行に出掛けるのか?「消費をしない」と言われる20代の消費傾向をJTB総合研究所の独自調査で探ってみた。
河野 まゆ子 執行役員 地域交流共創部長
昨今の20代は消費に消極的だとよく言われるが、実際の20代の消費活動は、より日常生活に密接な場面を中心に行われていることが調査結果から見えてきた。 「日常生活の中で『自由に使えるお金』を何に使うか(優先度の高いもの3つ)」という質問からは、男性が主に外食と交際費、趣味にお金を使っているのに対して、女性は主にファッションと交際費に使っていることが明らかになった。特に女性は、「衣料品」(回答者全体の69%が選択)や「靴、鞄、アクセサリー、化粧品などの身の回り品」(同47%)に支出する人の割合が高く、「交際費」に支出する人も53%と男性の40%を上回っている。男性は、最も多い「外食」でも選択したのは全体の42%であり、個々人で消費の重点が異なっていることが伺える。一方、「貯金」は男性で30%(5位)、女性では19%(6位)と、貯蓄を優先するという人はあまり多くないようだ。
年収別に調査結果をみると、男女とも年収の高い人ほど「外食費」にお金を掛ける人の割合は高くなる。年収の高さに比例して忙しくなり、外食する機会が多いことがその一因だろう。一方、年収350万円未満の層では、40%を超える男性が「その他の趣味」、「映画、コンサート、ゲーム、書籍など」を選択している。この層では女性も「映画、コンサート、ゲーム、書籍など」の選択割合が高い。誰かと会って食事をするよりも、一人で遊ぶほうがお金がかからなくて済む、という思いがあるのだろうか。
「交際費」の支出は、女性と男性で大きな違いがある。女性は、少ない可処分所得をやりくりしてでも「交際費」にお金を掛ける傾向が見られる。年収が低い女性ほど交際費に優先的にお金を掛けており、350万円未満の層で「交際費」を選択した人の割合は60%前後となる。友人との良好な関係維持のために割くお金は、女性にとって必要不可欠なものと言える。
「もし30万円あったら、何に使う?」という質問に対して、優先するもの上位3位までの合計は、男性では貯金(回答者全体の40%)、AV機器(35%)、国内旅行(30%)が挙げられ、女性は貯金(40%)と海外旅行(40%)がほぼ同率、次いで国内旅行(39%)の順となった。上記の「日常生活の中で自由になるお金の使い道」では下位に甘んじた「旅行」が、この質問では男女とも上位にのぼった。月々お金を貯めて先の旅行に備えるよりも、ボーナスなどのまとまった収入を旅行に充てるといった実態が読み取れる。特に女性は、優先度で貯金に次いで僅差で2位の海外旅行を選択した人が40%を超え、選択率が23%に留まった男性と比べて海外旅行意欲が強い。一方、男性では年収を問わず海外旅行よりも国内旅行志向が強い傾向にある。
では、「30万円あったら旅行に行きたい」20代は、実際にどのような旅行経験をし、どのような旅行を望んでいるのか。調査結果第二弾は20代の旅行の実態についてレポートする。