『子連れ海外旅行』を考える(その1)~「子連れだって、海外旅行に行きたい」女性の志向 ~

小さな子供がいる家族にとって、海外旅行はまだまだ遠い存在であり、子供連れでの旅行環境は十分に整っているとは言えないのではないだろうか。そのような疑問を念頭に、『子連れ海外旅行』について、数回に渡りレポートしていく。

中島 ひろみ

中島 ひろみ

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一昔前に比べ、赤ちゃん連れのファミリーの姿を街のあちこちで見かけるようになった。「子連れ客歓迎の宿」、「子連れにやさしい宿」を謳う宿泊施設が登場、小さい子供連れの家族をターゲットとする様々なサービスを提供している。また、旅行会社のホームページなどでも、子連れ旅行に関するいろいろな情報を得ることができる。

一方、小さな子供がいる家族にとって、海外旅行はまだまだ遠い存在であり、子供連れでの旅行環境は十分に整っているとは言えないのではないだろうか。
そのような疑問を念頭に、『子連れ海外旅行』について、数回に渡りレポートしていく。
手始めにJTMが2008年に実施した「海外旅行実態調査」から、中学生以下の子供を持つ50歳未満の女性を抽出し、子供がいても海外旅行をしている女性たちの海外旅行に対する考え方をみてみたい。

※ 50歳未満の女性回答者813人のうち、末子が中学生以下で職業を持つ女性(83人)を「子育て有職女性」、末子が中学生以下の専業主婦(102人)を「子育て専業主婦」とした。

業務渡航の比率が高く、生活環境の変化に関わらず海外旅行に出かける男性に比べ、女性は、結婚、出産、子育てなどの生活環境の変化が海外旅行の実施に大きく影響する。女性の年齢別の出国率をみると、結婚し、子育てがはじまる30代で大きく下がり、子育て率が高くなる40代ではさらに低下する。そうしたなか、子供がいても海外旅行をおこなっている子育て女性たちは、海外旅行に対してかなり積極的な人たちだと言える。海外旅行についての考えを聞いたアンケートの結果からも、その強い思いがうかがえる。

「毎年最低1回は海外旅行をしないと気が済まない」と言い切る子育て女性はさすがに全体の平均より少ないが、「どちらかというと…」という人を合わせれば、同年代女性全体の平均とほぼ同じ比率になる。もともと海外旅行好きの30代、40代女性の、今も変わらぬ姿が浮かんでくる。また、「自分から誘っていく」という人と「どちらかというと自分から」を合わせると、全体平均を上回る。子育て女性は自分から積極的に旅行を提案しているようすがうかがえる。

同じ子育て女性でも、仕事を持っていてより経済的余裕のある人よりも、子育てに専念している人の方が海外旅行に積極的で、「毎年1回は海外旅行」という人も、「自分から誘っていく」と答えた比率も、子育て専業主婦が子育て有職女性を上回っている。「自分から誘う」人の割合では女性の全体平均をも上回っている。

海外旅行実態調査2008

出典:(株)ツーリズム・マーケティング研究所「海外旅行実態調査2008」
注:50歳未満の女性回答者のみ

(次回、「子連れ海外旅行女性の消費行動」に続きます。)