『子連れ海外旅行』を考える(その2)~子連れ海外旅行女性の消費行動~
「子供が小さいから」ではなく、「経済的な余裕が無い」ことが、子供がいる女性が海外旅行をしない(できない)最大の要因であることは言うまでもない。では、2007年海外旅行した子育て女性たちは経済的に余裕がある人なのだろうか。
中島 ひろみ
子供が生まれると月々の出費が増え、子供が大きくなるにつれて学費がかさみ、ますます経済的に圧迫される。また、仕事を持たず、子育てに専念している女性も少なくない。「子供が小さいから」ではなく、「経済的な余裕が無い」ことが、子供がいる女性が海外旅行をしない(できない)最大の要因であることは言うまでもない。では、2007年海外旅行した子育て女性たちは経済的に余裕がある人なのだろうか。
JTMが2008年に実施した「海外旅行実態調査」のアンケート結果(図1)をみてみると、経済的に余裕があるというよりも、何とかやりくりして海外旅行に行っているようで、専業主婦の場合に特に顕著である。また、ショッピングについては、ブランドショッピングに対する志向が比較的強く、実際の買い物費(図2)をみてみても、全体平均と比べてそれ程差がなく、むしろ、子育て専業主婦では平均を7,000円上回っている。
女性のストレス解消法の一つに”買い物”がある。子育て女性は日頃子育てや仕事(家事)に追われ、休日も常に子供と一緒で、自分の時間を持つことも、自分のための買い物もなかなかできない。有職女性は働きに出ている間は子育てから解放されるが、保育園の送り迎えや家事、育児で常に時間に追われている。専業主婦はそれこそ四六時中子供と一緒で、ほとんど家にいて社会との接点が非常に少ない。彼女たちのストレスは相当なものがあるに違いない。これを解消するために、非日常的な「海外旅行」や自分のための「ブランド品」を買っているのではないだろうか。女性のストレス解消のための買い物は”非日常のもの”、”自分のためのもの”であることが重要なのだ。
「日頃頑張っている自分に年に1度のご褒美として海外旅行ぐらいしたって良いじゃない。その為だったら、家計をなんとかやりくりして、頑張るわ」、「ハワイでのんびりした~い。プールで子供の面倒をパパにみてもらっている間に、私はひとりでショッピングも楽しみたい! 昔のようにブランドショッピングがしたいわ」。そんな子連れ海外旅行女性たちの声が聞こえるようだ。
そして、彼女たちと同じ、30代、40代の元来海外旅行が大好きな世代で、単に「子供がいるから」と海外旅行をあきらめている多くの子育て女性たちも、きっかけさえあれば、ストレス解消の手段として、自分へのご褒美として、ふたたび海外旅行に出かけるようになるのかもしれない。
(次回、「海外旅行にまつわる子連れ向けサービスのいろいろ」に続きます。)
注:50歳未満の女性回答者のみ
そのうち、末子が中学生以下で職業を持つ女性を「子育て有職女性」、末子が中学生以下の専業主婦を「子育て専業主婦」とした。
【前回の記事はこちら】
>『子連れ海外旅行』を考える(その1)~「子連れだって、海外旅行に行きたい」女性の志向~