『子連れ海外旅行』を考える（その3）～海外旅行にまつわる子連れ向けサービスのいろいろ～

出発空港から現地での滞在中までに、どのような子供（連れ）向けのサービスがあるのか、それがどんな風に子連れ海外旅行者にとって便利なのかを一覧表にまとめてみた。こうしてみると、案外色々あるものだ。中でも、空港のキッズスペースが意外に充実していて驚いた。例えば成田空港には、次のような設備がある。

【プレイルーム】
第1、第2、各ターミナルに一つずつあり、子供向けのゲーム、各種玩具、オムツ替えシートなどを完備。空港のスタッフがいるが、託児所ではないので、大人の付き添いが必要。

【キッズルーム】
第2ターミナルにあり、すべり台などの大型玩具が置かれている。特にスタッフは配置されていない。

【キッズパーク】
第1、第2、各ターミナルにある、通路わきのオープンスペースをベンチクッションで囲ったもの。ウレタン製の大型ブロックなどの遊具がある。

成田空港にキッズスペースの利用状況を問い合わせると、スタッフがいて利用者数が把握できるプレイルームで一日延べ100人程度とのことだった。成田空港の2007年の日本人利用者数の一日平均は約26,000人だったから、仮に日本人出国者数に占める10歳未満の比率、3％をこれに掛けてみると750人になり、それ程高い利用率とはいえない。そもそもこのような施設があることを知っている子連れ海外旅行者が少ないのではないだろうか。事前に知っていないと、搭乗ゲートによっては、その存在に気づくことはないだろう。

他の子ども連れ旅客向けのサービスも、知らないままで旅行している人は案外多いのではないかと思う。これらのサービスの情報は、旅行者自身が自分から空港や航空会社、ホテルに問い合わせるか、ホームページで調べたりしないとなかなか得られない。まして、具体的に海外旅行を計画していない多くの子育て世代はこれらの存在を知らないのが現状だろう。
それらのサービスを知れば、子育て世代が持つ子連れ海外旅行に対する「大変そう…」と不安を覚えがちなマイナスイメージが、「楽しいかも」「大丈夫かも」というプラス方向に変わる可能性があると言える。

海外旅行というと、ママ達が真っ先に不安に思うのは「長時間のフライト中、機内で子供たちは大丈夫なの？？」という事だが、航空会社が子ども向けに提供する色々なサービスを知っていれば、その不安は少なからず軽減され、機内での過ごし方が具体的にイメージできるだろう。そして、「これなら、子連れ海外旅行も何とかなりそう」⇒「思い切って、行ってみよう」となり、今まで子連れ海外旅行を躊躇していた人達の背中を押すきっかけになりはしないだろうか。

子連れ向けのサービスを上手くアピールすることによって、どの様に子連れ海外旅行の市場拡大の可能性につながっていくのか。次回も引き続き考えてみたい。

（表1）海外旅行に関連する子連れ向けの各種サービス