『子連れ海外旅行』を考える（6）～　海外旅行における”子連れ”というバリア2　～

前回は子連れ海外旅行の大きなバリアである「往復の飛行機」、「滞在先での不安」について書いた。これらの他に、子連れで海外旅行に行こうという気持ちにブレーキを掛ける最も大きい要素は、「子供の年齢」ではないだろうか。

子供が生まれてしばらくは、ママもパパも赤ちゃんとの生活で精一杯で、とても旅行に出かけようという気持ちにはならない。赤ちゃんのいる生活にも少し慣れてきて、「たまには旅行でもして息抜きしたい」と思っても、”子育て”という初めての経験を手探り状態で進むしかない新米ママと新米パパにとっては、国内旅行でさえ、「移動中は大丈夫？」「食事は？」「夜泣きで周りに迷惑を掛けないか？」「向うで病気になったらどうする？」「いったい何を持って行ったら良いの？」・・・・と、考えるだけで面倒になり、実行するまでにはかなりの気力が必要となってしまう。ましてや海外旅行となると、海外旅行経験豊富なママをもってしても、国内旅行の数十倍の気力が必要になるかもしれない。

子供が少し大きくなり、離乳食も終わって食事の心配がなくなり、出掛けることにそれ程心配がなくなって来たころ、海外旅行大好きママが”子連れ海外旅行”を実行に移す。もちろん、この時期においても、海外旅行に踏み切れないママたちは少なくない。言葉も達者になって、子供との意思疎通ができるようになると、旅行をする際に最も重要な要素になってくるのが、”子供が楽しめるかどうか”ということであろう。その一方で、子供が2歳以上になると、たとえ子供料金の設定があったとしても、2歳未満の幼児料金に比べれば、それなりの旅行費用がかかるようになる。「将来、海外旅行に行った事すら覚えているかどうかわからない年齢の子供を連れて行く価値があるのかどうか…」、「子供が喜ぶような所（動物園や水族館、遊園地など）は日本も海外も変わらないから、わざわざ海外に行かなくても…」といった具合に、費用対効果の面で国内旅行に軍配が上がる可能性は非常に高い。

子供が小学校に通うようになると、「学校」が最大のバリアであることは言うまでもないだろう。この時期になると、旅行中に親と子供が一緒に楽しめる要素が増え、また、子供にとっても楽しい旅の記憶が持続できるようになるので、海外旅行の費用対効果はぐっと上がる。しかし、特に子供が高学年になると、「学校を休ませてまでは旅行に行けない」ので、行くとすれば夏休みや春休みなどの学校の長期休暇の時期になり、当然ながら、その時期は旅行費用が高い。独身時代のように自分の費用だけを考えれば良いわけではなく、家族全員の旅行費用を考えると、「やっぱり近くの山や海で十分かな・・・」となってしまうのである。

そして、中学生になると、「学校」という要素に「子供の部活」という障害が加わる。小学校に比べて、学校を休ませることへの抵抗感は何倍にもなるし、学校の長期休暇中であっても「部活」があるがゆえに、子供との旅行の日程は親の自由ならないのである。部にもよるが、学校が休みでも部活は休みにならない場合が多い。いくら親が旅行に行きたくても、子供だけを置いていくわけにもいかない。複数の子供がいる家庭では、彼らの部活の休みと、自分たちの休暇日程を合わせていると、「とても海外旅行に行ける日数は確保できない」となりかねない。あるいは、みんなの都合が合う日程は「お盆の期間中だけ」などということも往々にしてある。そうなると、予約も難しく、費用の面でも海外旅行はあきらめざるを得ないということになりがちである。

このように、その時々で内容は様々ではあるが、「まだ子供が○○才だから…」、「もう子供が○○才（小学生、中学生）だから…」と海外旅行をあきらめている人は多い。”子供の年齢”がバリアとして、子連れ海外旅行の前に大きく立ちはだかってくるのだ。そして、「子育てが終わるまでは海外旅行は封印」という極端なママ達もいるかもしれない。確かに小学校高学年くらいから容易には乗り越えられない障害が増え、”子連れ海外旅行”を実行するのが難しくなる。それならばなおの事、小学校低学年までの、それも、なるべく早いうちから一緒に海外に出かけ、その時期にしか作れない子供との貴重な思い出をたくさん作ってほしいものだ。実際に”子連れ海外旅行”をしてみると、旅行前に不安だった事柄は杞憂に終わり、しかも期待以上に楽しめて、「こんなことならもっと早く子供と海外旅行に行けば良かった」と言うママは多い。そして、子供が低年齢であるほど、”年齢によるバリア”は比較的容易に乗り越えられる。そのためには、”子連れ海外旅行”の楽しさやそのノウハウをパパやママに知ってもらう事に尽きる。「こうすれば、こんな楽しい旅行ができる」という事さえわかれば、”子連れ海外旅行”に行きたくない親はいないだろう。大きくなってしまった子供とは決して味わう事ができない、子供が小さいころにしかできない貴重な海外旅行、それが”子連れ海外旅行”なのだから。