新年のご挨拶

野澤 肇

野澤 肇 代表取締役 社長執行役員

印刷する

謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

2020年が幕をあけました。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)を目前に控え、準備も最終段階に入りました。日本のツーリズムは、東京開催決定を契機に、20年訪日外国人旅行者4千万人を目標に、官民を挙げて様々な取り組みを進め、大きな成長を遂げてきました。昨年のラグビーワールドカップ2019TM日本大会の開催、新天皇即位に伴う皇室関連行事などに続く世界からの注目を一過性のものに終わらせることなく、ツーリズムの継続的な発展に生かしていくため、当社も力をつくしたいと思います。

今、ツーリズムを取り巻く環境は、世界的に大きく変わりつつあります。欧米のミレニアル世代やZ世代(ポストミレニアル)に代表される環境保護に対する意識の高まりは、社会全体に大きな影響を与え始めています。世界の旅行者は「旅行においてよりサステナブルな選択をしたい」という考えが広がっています。最近は日本のインバウンドに関わる事業者に対し、海外の旅行会社や取引先企業が、SDGsの取り組み状況を確認する機会が増えたという話をよく聞きます。日本のツーリズムにおいても、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の考え方を積極的に取り入れ、世界基準でバランスの取れた発展を目指すことは急務になってきました。

観光大国への変貌とともに、日本のツーリズム産業も変革が迫られます。CO2排出量削減に真剣に取り組まない航空会社は選択されず、プラスティック削減に努力しないホテルが回避されるのと同じように、これからは環境に優しくないデスティネーション(目的地)は旅行者に選ばれなくなると考えられます。誰でも旅行が出来るユニバーサル・ツーリズム、LGBTへの寛容度、様々な宗教や食事制限等への配慮の有無が重視され、一方観光客と住民が共生できず、女性や高齢者が活躍していないデスティネーションは、旅行者の支持を失うことになるでしょう。そのためには観光の質の向上が極めて重要です。AIやMaaS、シェアリングビジネス等も、その手段として活用が広がります。

今年は大きな通過点としてこれまでの成果が問われる重要な年です。地域の魅力に光を照らし、未来へ向けて、日本のツーリズムの発展に寄与してまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。