取扱額39,173百万ドル 世界一の旅行会社に?

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2013年世界の旅行会社の取扱額ランキング2位、39,173百万ドルのプライスライン・グループ、エクスペディアを抜き世界最大の旅行会社になる日は遠くない?!
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Euromonitor

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市場調査会社のユーロモニターが2013年の世界の旅行会社の取扱額ランキングを集計しました。1位はExpedia(エクスペディア)で取扱額39,443百万ドル、2位はpriceline(プライスライングループ)で取扱額39,173百万ドルと、上位をアメリカのOTA(Online Travel Agent)が占める結果となりました。

2位のプライスラインは、最近、米レストラン予約サイトOpen Table(オープン・テーブル)を25億ドルで買収したことで日本でも注目されていますが、2010年は取扱額13,427百万ドルで7位でしたので、その躍進ぶりには目を見張るものがあります。同社は1997年創業、1998年にオンライン販売を開始しましたが、買収を重ね規模を拡大し、オンライン市場が広がるアジアなどへの参入にも成功し、現在85%が海外収入です。傘下にプライスライン・ドットコム、ブッキング・ドットコム、アゴダ、レンタルカー・ドットコムなどの予約サイトがあり、世界中の多様なマーケットからあらゆるユーザーを取り込むため、被買収企業は独立経営を続けて各サイトを運営しています。ただしビジネスモデル自体は‘プライスライン’モデルにルール化されているようです。プライスライン社のM&Aを支えるのは売上営業利益率36%という本業での高収益体質。株価はリーマンショック直後から20倍以上になり、グーグルより早く1000ドルに達しています。

一言でOTAといっても、1位のエクスペディアと2位のプライスラインではビジネスモデルが違います。エクスペディアの海外収入は47%。商品はネットで仕入れてマークアップして販売するマーチャントモデルが主流です。プライスラインはReverse-auction Pricing System(逆オークションモデル)という予約の際に利用者側が値段を決めるビジネスモデルで収益を伸ばしたことで知られていますが、小売り販売でコミッションを稼ぐエージェントモデルの販売が大きい点がエクスペディアと異なる点です。またKAYAK(カヤック)というメタサーチ(サプライヤーやOTAの複数サイトから価格を一覧表示するサイト、予約機能は持たず各サイトにいく)も買収して広告収入もあげています。日本語サイトもあります。

既にプライスラインは、2013年の第3~4四半期についてはエクスペディアを抜いています。強い財務基盤とグローバル化を武器に世界最大の旅行会社になる日は遠くないかもしれません。

2013年度 世界旅行業取扱額 上位企業(US$M)

  1. Expedia(エクスペディア) 39,443(US$M)
  2. priceline(プライスライングループ) 39,173(US$M)
  3. Carlson Wagonlit Travel(カールソン ワゴンリー トラベル) 31,611(US$M)
  4. TUI(トゥイ) 25,593(US$M)
  5. AMERICAN EXPRESS(アメリカンエクスプレス) 24,256(US$M)
  6. Thomas Cook(トーマスクック) 18,122(US$M)
  7. JTB(ジェーティービー) 15,180(US$M)
    1. 出典: Euromonitorを元にJTB総合研究所作成