訪日外国人旅行者の47.7%が・・・
訪日外国人旅行者の免税実施率が47.7%と約半数に(2015年10-12月期)
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ここ数年、訪日外国人旅行者が増加し、銀座や新宿などで買い物を楽しむ姿が話題となっています。観光庁の訪日外国人消費動向調査によれば、2014年の10月から免税品の対象となる商品が増えたことで、訪日外国人がより多くの免税品を購入するようになり、免税手続き実施率も上昇。2015年10-12月期には、品目が拡大される前の2倍以上となる47.7%となりました。中でも中国からの旅行者の実施率は71.8%と7割を超えています。免税手続きの実施の有無で購入単価を比較してみると、カメラ・ビデオカメラ・時計は免税手続き無しの平均単価は5.4万円であるのに対し、有りの場合は8.6万円に、服(和服以外)・かばん・靴では、無しの2.5万円に対し、有りでは6.4万円など、どの費目でも免税手続きを実施した人の平均単価が高くなり、免税品の対象が拡大されたことで、より多くの買い物をする旅行者が増えたとみられます(*1)。
また、最近では日本を何度も訪れるリピーターも増え、一般的な土産物だけでなく、より自分の趣味や嗜好に沿ったものを、様々な場所で購入することを楽しむようになっているようです。
“サブカルチャーの殿堂”とも呼ばれる中野ブロードウェイもその一つです。一口に“サブカルチャー”と言っても、いわゆるアニメやキャラクターショップだけにとどまりません。4階まである大型のショッピングセンターには、現代美術や書籍、ミリタリー、一千万円近い腕時計が並ぶ高級時計ショップ、ポップアーティストの村上隆が手掛けるカフェなど、様々なジャンルに特化した店が立ち並び、日本人だけでなく、訪日外国人旅行者でも賑わいを見せています。
インタビューなどで訪日外国人旅行者に対し、日本で買い物をしたい理由を聞いてみると、「偽物が少ない」ことが多くあげられます。アジアの若者を中心に、インターネットで様々な情報に触れる機会が増え、目が肥えたことで本物志向が高まっているようです。
当社が実施したタイ人旅行者への調査結果では、日本が誇れることとして「質の高いサービス(81.0%)」が教育水準、科学技術に次いで3位にあげられました。人間の心理として、自分の興味や関心が高い分野には財布の紐が緩くなる(*3)ことが知られていますが、そうは言っても、本当に良いものを、できるだけ安心して買いたい、という気持ちは根底にあるのだと考えられます。
訪日外国人の数の増加だけに踊らされないよう、日本への信頼感を保ちつつ、より多様化する個々のニーズに対応していくことが求められそうです。