風土(風景、気候)が45%
ヨーロッパ人が「休暇で同じ土地をまた訪れたいと思う理由」、第1位は「natural features (風土、風景、気候)」で45%
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- ユーロバロメーター“Preferences of Europeans towards tourism”(2016年3月発表)
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旅行者を受け入れる地域にとって、その土地を繰り返し訪れてくれるリピーターの存在は重要ですが、再訪してもらうための方策に悩む地域も多いです。同じ場所を訪れる旅行者は、何に魅かれてその土地を再度訪問したいと思うのでしょうか。
ユーロバロメーターは、2016年3月に“Preferences of Europeans towards tourism”を発表しました。EU加盟28ヶ国とトルコ、マケドニア、アイスランド、モンテネグロ、モルドヴァ在住の30,105人を対象にEU委員会の依頼により実施されるヨーロッパにおける世論調査の一つです。調査によれば、「休暇で同じ土地をまた訪れたいと思う理由」は、natural features (風土、風景、気候)が45%、次にquality of accommodation(宿泊場所の質)32%、cultural and historical attractions(文化的、歴史的魅力)31%と続きました。また、how tourists are welcomed(旅行者が歓迎されていると感じるか)は21%でした。回答者のほぼ半数がその土地の風土や風景、気候に魅力を感じ、また訪れたいと思う理由にあげています。
JTB総合研究所が2015年12月に実施した、日本に旅行したいと考えているフランス人に関する調査で、日本への旅行経験別に日本を訪問先に選んだ理由を聞いたところ、初回は「より深く日本の文化を知りたかったが58.7%と最も多い結果でしたが、2回目以降の直近の日本旅行では「自然に親しむため」が初めての日本旅行の時の34.2%から44.1%と約10%伸びていました。実際に日本を旅行したことで日本の自然への関心が高くなり再訪の理由の一つになったと言えるでしょう。
日本では長年の間、経済性が優先され、地域全体の調和・景観を軽視した建築物が次々に建てられ、無秩序な屋外広告などの氾濫もあり、街並みや自然風景から調和や地域ごとの特色が失われてきました。最近は、景観の価値に対する意識が高まり、景観の保全に取り組む地域も増えています。自然風景や景観の保全は、住民にとってだけでなく、人々がまた訪れたいと思う場所になるためにも、大切なことなのです。
(図1)休暇で同じ場所をまた訪れたいと思う理由 (複数回答)
(Q: Which of the following would make you go back to the same place for a holiday?) (n=30,105)
*ユーロバロメーター“Preferences of Europeans towards tourism”調査(2016年1月調査/2016年3月発表)より抜粋してJTB総合研究所作成
(図2) 日本への旅行経験別 フランス人が日本を旅行先に選択した理由 (複数回答)
*2016年3月28日発表 JTB総合研究所「日本へ旅行したいと考えているフランス人のライフスタイルと旅行に関する調査」より