世界で2番目のモバイル大陸

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アフリカ大陸、携帯電話利用者数が2020年までに全体人口約7億人の54%に到達見込み

アフリカ大陸、携帯電話利用者数が2020年までに全体人口約7億人の54%に到達見込み
Source
GSMA "The Mobile Economy Africa 2016"

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アフリカは12.16億の人口を抱える大陸です。2016年における一人あたりの名目GDPは平均1,871USドル。日本の約3万USドルと比較すると、まだそれほど高いわけではないものの、すでに赤道ギニアやセーシェルなど1万USドルを超える国々もあります。また、2013年から2023年までの10年間でGDPの成長率は6%以上と予測される、最もホットな地域でもあります。

もう一つ注目すべき点は、アフリカは世界で2番目のモバイル大陸だということです。2015年には人口の46%にあたる約6億人が携帯電話を利用。2010年から倍増しています。現在はエジプト、ナイジェリア、南アフリカの三カ国で、全利用者の約3割を占め、サハラ砂漠以南の地域ではまだ6%程度の普及率にとどまっていますが、今後はそのような地域でも利用者が増加し、2020年までにアフリカ全体で約7億人、人口の54%に達すると予想されています。
 
興味深いのは、アフリカではいわゆる従来型のインフラ(電気、ガス、水道、道路など)の普及より携帯電話(充電が長持ちするという理由もあり、スマートフォンよりもフィーチャーフォンの利用者が圧倒的に多いこともアフリカの特徴)の普及の方が急速に進んでいることです。このことは、アフリカにどのような意味をもたらすのでしょうか。

アフリカは、国間の格差が大きい地域です。サハラ砂漠以南の地域に住む2.8億人は農業で生計を立てています。携帯電話の登場は、彼らの生活に大きな変化をもたらしました。

農家の人たちは、携帯電話からインターネットを通じて商品を流通することができるようになったおかげで、ただお客様が来るのを待っていた時代から比べると、在庫の管理も容易となり、効率的な生産ができるため廃却しなければならない商品も減りました。銀行のATMなども十分に整備されていない中、支払金の授受などもネット上のアカウントでスムーズに行えるようになりました。GSMAによれば、2015年時点で世界の93ヶ国に存在するアクティブな電子マネーアカウントのうち、52%がアフリカで占められています。

恩恵を受けているのは、農家の人たちだけではありません。医療に携わる人たちは、インターネットを通じた教育を受けることが可能となり、医療の水準も格段に上がりました。

このように携帯電話を通じてインターネットにアクセスが可能となったことによって、医療や教育水準、生活文化の向上、男女平等、雇用機会の創出など、様々な社会インフラの向上が期待されています。日本や日本の地域とアフリカの繋がりも今後は増加していくことが予想されます。その際、アフリカではスマートフォンを通じたアプリの利用ではなく、フィーチャーフォンを通じたインターネットへのアクセスが主なものであるなど、アフリカ特有の事情を考慮することも大切かもしれません。

出典: GSMA, World Economic Forum, Pew Research Center, Ericsson, Daliberg