1年間に59人の命を救ったものは

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ある調査でドローンは1年間に18カ国で59の命を救ったと報告されています。

ある調査でドローンは1年間に18カ国で59の命を救ったと報告されています。
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DJI Releases First Count Of Lives Saved By Drones

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「パイロットのいない飛行機」の最初の試作機は、1916年に英国空軍で製造された‘Ruston Protocor Aerial Target’であると言われています。私たちが今ドローンと呼んでいるこの種の飛行機は、この100年の間に多種多様なモデルが創り出され、特にここ5年ほどの間に一般社会の中で目覚ましく存在感を上げてきています。今や、映画やビデオの空中撮影にドローンを利用する例は珍しくなく、昨年、アマゾン UKは、ドローンによる顧客への商品配達の実験を始めました。そして今、ドローンは人の命を救う働きをもしていることをご存知でしょうか。
 アメリカの消防署では火災の現場でドローンが活用されることがあります。ドローンは車よりも速く現場に到着でき、温度を感知するセンサーで人の居場所や火災が最も激しい場所を示すことができるからです。また、スウェーデンで行われた調査では、心臓発作の患者からの救急車要請に対し、ドローンが救急車より平均16分早く患者のもとに除細動器を運び、蘇生のチャンスを増やすことがあると報告されています。世界最大のドローンメーカーであるDJI社の調査によると、2016年にドローンは18カ国で59の命を救ったと報告されています。1週間に1つ以上の命が救われた計算です。一方で、飛行中の制御不能、電池切れ、などでドローンが落下して人や物に衝突するなどの事故の原因になることも忘れてはなりません。
 次世代のドローンについて考えると、人工知能を組み込むことで、人間が指示するよりもミスなく適切なコースを飛ぶようになるだろうと想像することができます。様々なセンサーやテクノロジーの進化によって、人々の行動だけでなく、地形や飛行する環境のとらえ方もより高度なものとなり、アクセスできない場所はもはや存在しなくなるかもしれません。前述のように、ドローンは自動車よりもはるかに高速に目的地に到着するので、規制と安全性の問題が解決されれば、我々はドローンが人間を運ぶことさえ目にすることになるでしょう。もはや自動運転の自動ドローンはサイエンスフィクションではありません。自然災害や事故現場など簡単に現場に近づけない場合、救命用品の宅配、接近不可能な地域への医療品の輸送、消火活動の補助などにおいてドローンは有効なツールであり、将来的には様々な種類の救助や予防の場面においてより重要な役割を果たすことになると期待されます。そしてこれまでの100年のように今後さらに新しい利用方法が開発され、人間に新たな視野をもたらすことでしょう。しかし私たちはそれが単なる道具であることを常に忘れてはいけません。

*出所:DJIプレスリリース「DJI、ライフセーバーに空撮技術を提供」