27年間で約100万倍
携帯電話の最大通信速度の進化は、デジタル通信が始まった第2世代(1993年)⇒第5世代(2020年予定)で約100万倍に進化する見込み(0.01Mbps⇒10Gbps)。
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最近「5G」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。5Gとは、第5世代移動通信システムの通称で、Gは“Generation(世代)”の略です。各“世代”を分ける大きな特徴は通信速度で、現在普及している4Gは、アナログ通信の1G、そして最初のデジタル通信の2G(1993年)の約10万倍の速度になります。報道では様々な言い方がされていますが、次世代の5Gの最高通信速度は10Gbpsになると言われ、4Gの最高通信速度である1Gbpsの約10倍の速さが実現すると言われています。政府は2020年を目処に5Gの実用化を目指していますが、デジタル通信が始まった1993年から27年間で実に100万倍の超高速化が実現することになります。
5Gの実現によって、来たる東京オリンピック・パラリンピック大会のコミュニケーションやプロモーションに活用され、技術大国日本を示す良い機会となることはもちろん、近い未来における私たちの日常生活の様々なシーンで新しいサービスが登場することにも期待が高まります。
5Gの大きな特徴は「超高速化」の他に、家電やセンサーなどあらゆる機器をネット接続可能とする「多数同時接続」、遠隔でも瞬時に繊細な反応ができる「低遅延化」があげられます。
「超高速化」は現在普及しつつある4Kよりさらに高精細な8K映像の提供や、VR・ARのクオリティの向上、また360度自由視点映像での中継など、レジャー、エンタメ分野のコンテンツを豊かにすることが可能になります。例えば旅行においては、VRを活用し質の高い疑似旅行体験の提供が可能になります。また、旅行前にパンフレットや写真で見た事前のイメージと、実際に現地に行った際のギャップを埋めることができ、より満足度の高い旅行の選択を可能とします。実際に旅行が難しい方に旅行を体験してもらうサービスなど、可能性はさらに広がりそうです。
5Gは「多数同時接続」にも大きな期待がかかります。家電などのモノがインターネットでつながり(IoT、Internet of Things)、スマホを通じて機器が動いたり、センサーやデバイスから取得した人々の行動情報に基づき、個々人に適した情報が提供されたりするサービスが増えています。しかしながらこれまでの4Gではセンサーやデバイスの同時接続数に限界がありました。5Gは4Gの100倍以上の多数同時接続機能を持つと言われ、この先IoT化が進む中、5Gの「多数同時接続」が果たす役割は重要になります。
5Gの「低遅延化」も4Gの10倍の精度になるとされ、数秒の遅れが操作に大きく影響をもたらす車の自動運転、建築現場、医療手術用などのロボット、運搬や保守点検などのドローンの性能の向上に貢献すると考えられます。
2Gによるデジタル通信が始まって以来、この25年間で私たちの生活は大きく変わりました。通信速度の進化だけでなく、5Gが始まる2020年には全世界のビックデータは40兆ギガに達する見込みとのことです。膨大なデータが高速でリアルタイムにと接続することにより、多くの変化と新しい技術をもたらしています。20世紀の発明は今まで誰も見たことがない新しい発明でした。一方21世紀の発明は圧倒的な情報量とスピードで改善されていく技術の進化により、個々人にとって多様な選択肢が生まれることであると実感します。最先端の動向にキャッチアップしながら、新しいものを生活にどう取り入れていくか、自身の価値観に合わせて選択することがこの先の時代を楽しむ鍵になりそうです。
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