年間500億円

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2019年1月7日から国際観光旅客税が導入されました。年間約500億円が新たな観光財源になる予定です。

2019年1月7日から国際観光旅客税が導入されました。年間約500億円が新たな観光財源になる予定です。

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2019年1月7日から国際観光旅客税が導入されました。これは国籍を問わず日本から海外へ出国する人から1人あたり1,000円を徴収するものです。2019年度は、500億円の税収が見込まれており、これは観光庁関連予算711億円の約7割の規模になります。この500億円の税収は、観光先進国実現に向けた観光基盤の拡充・強化を図るために使われることになっています。国際観光旅客税に関する先行事例としては、韓国・オーストラリア・米国などがよく紹介されますが、名称、徴収対象、導入年などをまとめると以下になります。

出入国に係る税金・費用を観光財源に活用している国の比較

韓国では、「出国納付金」という名目で10,000KRW(約980円)を航空券発券時に徴収し、政府が運営する観光振興開発基金を通じて、国内の観光施設の改修、事業者への融資・補助金、海外プロモーション費用に充てられています。オーストラリアの「出国税」も同様に60AUD(約4,723円)航空券発券時に徴収し主に国境警備、出入国手続きに係る費用に使われていますが、一部が海外プロモーション費用に充てられています。米国では、ビザ免除対象国からの訪米者が申請・登録する「電子渡航認証システム:ESTA(Electronic System for Travel Authorization)」の登録時に手数料として徴収し、14USDのうち10USD(約1,100円)を旅行促進基金(Travel Promotion Fund)を通じて、訪米外国人旅行者と観光消費の増加、米国のイメージ向上などの活動を行う非営利団体のCorporation for Travel Promotion(Brand USA)の運営に充てています。

このように、他国の事例を見ると、外国人旅行者の誘客につなげる施策に充てていることが多いことがわかります。日本では、2019年度の観光庁関連予算のうち約485億円が国際観光旅客税から充当され、訪日外国人向けの情報発信や旅行環境、観光資源の整備に充てられる予定です。すでにいくつかの地域では、訪日外国人旅行者が急激に増加したことによる住民の生活環境への影響も顕在化していますが、旅行環境の整備のなかにはこういった地域側の問題への対応も含まれていると理解できます。日本は、国際観光旅客税の導入としては後発ですが、今後、使途についてはより斬新なアイディアで「観光先進国」としての対応をしていけるとよいと思います。

(浪)