1日で3億5,000万本
アフリカのサハラ以南にある人口1億人の国エチオピアでは、2019年7月、ノーベル平和賞を受賞したアビイ・アフメド・アリ首相の主導による植林キャンペーンが行われ多くの国民がエチオピア全土で1日で3億5,000万本の木を植えました。
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気温上昇による気候変動は、地球環境に多くの悪影響を及ぼします。チューリヒ工科大学の研究によれば、植林は気候変動に対処するもっとも効果的で安価な方法だと言われています。木は生長するにつれて大量の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出するためです。
アフリカのサハラ以南にある人口1億人の国エチオピアでは、2019年7月、ノーベル平和賞を受賞したアビイ・アフメド・アリ首相の主導による植林キャンペーンが行われました。多くの国民がエチオピア全土でこの日1日で3億5,000万本の木を植え、2017年のインドで1日6,600万本の木が植えられた記録を超えて、世界新記録となりました。
エチオピアの森林面積は、20世紀初頭には国土の35%を占めていましたが。焼き畑農業による農地開発の影響などにより100年後の2000年には、4%まで減少しています。アビイ首相は、昨年5月に「グリーン・レガシー・イニシアチブ」を立ち上げ、森林破壊と気候変動と闘うために、10月までに国民一人当たり40本、計40億本の木を植える計画を立てました。7月には植樹キャンペーンを実施し、1日で3億5000万本の植林が行われたのです。
アフリカは、世界的に見ても気候変動に大きな影響を受ける大陸です。「国連環境計画」(UNEP)は、環境保護活動に関する国際協力の推進役として、1972年の設立以来ケニアのナイロビに本部を置いています。多くのアフリカ諸国が「国連環境計画」の支援を受けて大規模な植林キャンペーンを開始しており、エチオピアの今回の行動は、これまでにアフリカの中で最も積極的な行動と評価されています。他のアフリカ諸国もスピードを持ってこの問題に対処すべきでしょう。
先進国もまた、気候変動の影響をうけやすい開発途上国に対する支援を行っています。開発途上国における災害リスク管理(Disaster Risk Management :DRM)のため、日本は、世界銀行とともに、彼らが必要とする財政的および技術的支援をしています。また、国際協力機構(JICA)は、気候変動による影響に対処することができていない途上国において、「持続的森林管理のための能力開発プロジェクト」などのさまざまな関連プロジェクトに取り組んでいます。
2017年、干ばつによりエチオピアで200万匹以上の動物が死亡しました。この恐怖が森林破壊と戦おうというエチオピア人の心の変化につながり、多くの人々が首相の行動に心を動かされ、植林に参加しました。現在も続くこの活動の中でこれから最も重要なのは、木の生長のために快適な条件を整え、植林した木を保存してゆくことです。人々は、自らの手で植えた木々が育っていくことを見ることで、エチオピアの未来に希望を持つことができるのです。
(TOM)