日本人旅行者の32.5%が実施

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旅行中における SDGs に関わる行動として、「歯ブラシ、ブラシ、化粧品はなるべく持参する」と答えた日本人旅行者は32.5%でした。

旅行中における SDGs に関わる行動として、「歯ブラシ、ブラシ、化粧品はなるべく持参する」と答えた日本人旅行者は32.5%でした。
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JTB総合研究所「SDGsに対する生活者の意識と旅行についての調査(2022) ~その3 スウェーデン、ドイツ、日本の3ヵ国比較~」(2022年3月15日発表)

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2022年4月1日から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラスチック資源循環法)が施行されました。これはプラスチックに関わる様々な環境問題の対応に向けた、国内におけるプラスチック資源の循環を促進する法律で、プラスチック製品の設計から排出・回収・リサイクルに至るまで、事業者・自治体・消費者と相互に連携して取り組むことを謳っています。
 この法律には5つの措置事項があり、その1つに飲食業や宿泊業に多い、一度しか使用しないプラスチック商品を提供する事業者の「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」という事項があります。特定プラスチック使用製品として定められた12品目を無償で提供している事業者が、提供量の削減に取り組むことを義務化する内容で、宿泊業には、ヘアブラシ、くし、カミソリ、シャワーキャップ、歯ブラシの5品目が定められています。しかしながら、プラスチック製品の使用については「禁止」や「有料化」など具体的な方法は定められておらず、業種や業態の実態に応じて、提供方法や製品の工夫などの中から、有効な取り組みを選択することができます。複数の対応方法を組み合わせる、実施が容易なものから取り組むなどの自由度があるのです。

この事項を受けて、宿泊業界でも様々な取り組みが始まっています。例えば、部屋に設置するアメニティを持続可能な素材でつくられた製品に変更したり、部屋のアメニティの設置を廃止しフロントでの希望者への提供や、アメニティバーを設置することで必要な分だけ使ってもらったり、有料で今後も繰り返し使えるアメニティを販売したりするなど、ホテルのグレードやコンセプト、サービスレベルに合わせ、アイデアに富んだ取り組みがみられます。
 実際、筆者も今年オープンしたシティホテルにて、さとうきび由来の原料や竹でつくられた歯ブラシやくしを利用しましたが、手触りはよく、色は温かみがあるものでした。また別のビジネスホテルではフロント前にアメニティバーが設置されており、必要な人が歯ブラシなどを取る仕組みで、化粧水などには複数の種類があり、好みのものを選ぶことができました。このような取り組みにより、新しい楽しみを見出せそうです。

さらに旅行者自身が必要な歯ブラシやくしなどを持参することで、プラスチックやゴミの削減を行う選択肢もあります。当社が2022年3月に、日本・スウェーデン・ドイツの3か国の旅行実施者に対して実施した「旅行中におけるSDGsに関わる行動の実践率」についての調査では、「歯ブラシ、ブラシ、化粧品はなるべく持参する」と回答した人が日本は32.5%となりました。これに対し、スウェーデンは66.6%、ドイツは64.3%となり、すべての取り組みの中で最も高いポイントとなりました。日本の宿泊施設はアメニティが充実していることもあってか、現時点では差がありますが、今回の法律を受け、アメニティが不要の宿泊客には粗品をプレゼントするなどの取り組みを行う施設もあり、今後の日本人旅行者の行動の変化が期待されます。

今回の法律は、宿泊業界にも影響を与えていますが、事業者の努力だけでは影響は限られ、効果を高めるには旅行者の理解・行動も不可欠です。またプラスチック規制は環境問題の解決に向けた一つの方法に過ぎず、取り組むべきことは他にもあります。
 地球環境に関する問題については、現代に生きる私たちが皆、自分事として取り組まなければいけないことです。事業者の取り組みをきっかけに、利用者一人ひとりの意識と、日々の行動が変わっていくことを願っています。(Y)

<参考>
経済産業省 ニュースリリース『「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が閣議決定されました』(2022年3月9日)
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210309004/20210309004.html
環境省「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」
https://plastic-circulation.env.go.jp/about/pro/gorika?anc=gorika02