7連休7連勤

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中国では10月1日（土）から10月7日（金）まで、国慶節休暇という大型連休が到来します。国民はホリデーを楽しみにしているのかと思いきや、依然厳しいコロナ対策が課されているため、今年も海外旅行などの遠出が期待できず、合理的ではない休暇制度に中国のネットユーザーたちが本音を吐露しています。

中国の祝日は、日本の祝日より5日少ない11日です。国慶節自体は3日間ですが、秋の行楽シーズンに国民がまとまった休みを取れるよう、その前後に2日分の振替休日が付け加わり、合計で7日間の休暇となる制度が定められています。本来は3日しかない休みが、1週間に生まれ変わる魔法のような仕組みです。
　今年の国慶節休暇は、10月1日（土）から7日（金）までが休み、10月8日（土）と9日（日）は振替出勤日となり、7連休後に7連勤が訪れます。リフレッシュを目的とした休暇のはずが、今回は振替により休暇後の1週間が連勤になることで国民の不満が高まっており、ネットの書き込みでは「リフレッシュしてすぐの7日間勤務では疲れが溜まるから、休暇は振替なしの5日間で十分」、「休んでもいないのにもう疲れた」などのコメントが多発しています。「国慶休7天上7天」（直訳：国慶節7日間休暇7日間勤務）という関連キーワードを反映したニュース記事が取り上げられ、検索エンジンとしては中国国内でトップのシェアを持つ百度の7月、8月及び9月のホットトピックになりました。

百度指数キーワード検索トレンド（図※1）

暦の日並びにより、以前も今回同様に1週間の休暇後に連続勤務となった年がありました。ただし、今回のように大規模なホットトピックに上がるのは初めてです。コロナ禍以降、ゼロコロナ政策を推し進める政府による不要不急の外出自粛の協力要請や、省を跨るグループツアーの催行禁止などの要因により、国内旅行者数は減少傾向です。海外旅行については複数の要因がありますが、一番ハードルが高いのはやはり帰国時の隔離措置です。2022年6月末には、従来の「14日間の集中隔離+7日間の自宅健康観察」から「7日間の集中隔離+3日間の自宅健康観察」に変更し、行動制限期間が緩和されましたが、そのメリットを享受できる一般市民はビジネスなどで移動する少数と思われます。連休があっても遠方に行けないのであれば、短い休息で十分と考えている人が多いのかもしれません。
　実際、中国観光研究院の調査※2によると、2022年元旦、春節、清明節、メーデー、端午節休暇の国内平均旅行距離の半径は、それぞれ110.3㎞、131.8㎞、95㎞、99.6㎞、107.9㎞であり、コロナ禍前の2019年の年間国内平均旅行距離半径の270㎞と比べると半数にも満たず、近距離化の傾向が伺えます。

国民のリアルな声と旅行行動の変容がわかるデータが出ている一方、国慶節がもたらす経済効果は他の大型連休より大きいことも事実です。日本の観光庁に相当する中国文化旅游部統計において、休暇日数がほぼ同じ春節と延べ国内旅行者数を比較すると、コロナ禍前の2019年国慶節休暇は7.82億人であったのに対し、同年春節休暇は4.15億人で、国慶節休暇の方が3.67億人多い結果でした。コロナ禍である2020年と2021年は、政府の厳格な管理体制下において、旅先で感染者が出た場合はその地域で強制隔離となるなど帰宅できないリスクと隣り合わせでしたが、それでも2021年の国慶節休暇の延べ国内旅行者数は5.15億人、同年の春節休暇では2.56億人が旅行に繰り出していました。コロナ禍で生活に様々な制約がある中、旅行は一部国民の消費意欲の解放、及びストレス発散の場となったようです。

ゼロコロナ政策を推進している中国では、今年の国慶節も自由な海外渡航は叶わない状況ですが、今後の動きとして注目したいのは、10月16日から開催される中国共産党全国代表大会です。この大会は5年に一度開催され、国の運営方針や指導者が決定されます。このまま中国政府がゼロコロナ政策を継続するのか、それとも停滞している経済を回していくのか、ウォッチしたいと思います。（WF）
　
図※1出所：百度指数　http://index.baidu.com
※2出所：中国観光研究院　http://www.ctaweb.org.cn/cta/ztyj/202208/f105d8e2e09746788ac5dd9db13a89e7.shtml