2023年は200本以上

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国土交通省によると、2023年は200本以上の訪日クルーズが予定されているとのことです。

国土交通省によると、2023年は200本以上の訪日クルーズが予定されているとのことです。
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47NEWS(よんななニュース)「訪日クルーズ、3年ぶり再開 20年コロナ集団感染で停止」
2023.3.1(共同通信配信)

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2023年3月1日、ドイツの船社による国際クルーズ船「アマデア」が乗船客約500名を乗せ、静岡県清水港に入港しました。2020年2月に国際クルーズ船内で新型コロナの集団感染が発生して以来、外国船社による国際クルーズの入港は今回の寄港が日本全体で約3年ぶりとなりました。日本の船社による国際クルーズ(乗船地、または下船地、寄港地のいずれかに海外を含むクルーズ)は一足早い2022年12月に既に再開されていますが、今回の外国船社によるクルーズ船の入港により日本における国際クルーズの本格的な回復に期待がかかります。

訪日クルーズ旅客の受入は、全国各地の港で受け入れ整備がハード・ソフトの両面から進められ、自治体の誘致活動も功を奏した結果、訪日クルーズ客の受入は2013年の17万4000人から2017年には252万9000人、2019年も215万3000人になるなど、年によって増減はあるものの、短期間で200万人を超えるまでに拡大しました。
 2019年における外国船社が運行する国際クルーズ船の出発国・地域別でみた訪日クルーズ旅客数の内訳は、1位が中国の174万人(80.8%)、2位が台湾の28.8万人(13.4%)と圧倒的に中国が強い状況でした(国土交通省調べ)。その影響もあり、港湾別寄港回数は上位から、沖縄県那覇港、福岡県博多港、長崎県長崎港と九州・沖縄地方に多く集まる傾向がみられました。クルーズは航空機の国際線の拠点である東京や大阪などの大都市ではなく、地方都市に旅行者が訪問するきっかけをつくっているといえます。

2020年は、新型コロナウイルスの影響で訪日クルーズ旅客数は12万6000人にまで激減し、21年、22年はゼロの状況が続きました。一方、世界に目を向けると、2020年から国内クルーズを再開し、徐々に外国に寄港するクルーズへと運航を拡大させる国もありましたが、日本発着の国際クルーズは、国の水際対策の強化などもあり、各船社は中止や延期を繰り返していました。そのような中でも、業界団体である日本国際クルーズ協議会は2022年11月に感染拡大防止ガイドラインを作成するなどし、ようやく再開に至りました。

クルーズの旅は移動中もホテルのような滞在、食事、イベント、他の乗客との交流などが行え、また寄港地では観光や地域の人との交流ができるなど魅力満載です。加えて、海上から見る日本の風景、例えば前述のアマデア号のように港に近づくにつれて大きくなる富士山を見るというのは船でしか味わえない経験です。海に囲まれ、国のあちこちに港がある島国日本の特徴を活かせる領域といえます。
 国土交通省によると、3月1日時点で2023年は200本以上の外国船社による国際クルーズ船の運航が予定されているようです。2019年以前は日本人のクルーズ客数も増えており、これからクルーズの旅はますます拡大する可能性がありそうです。(N)

<参考>
国土交通省港湾局「国際クルーズ運航に向けた現状について」(2022.11.16)
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001572077.pdf
国土交通省「2019 年の我が国のクルーズ等の動向」(2022.9.25)
https://www.mlit.go.jp/common/001324822.pdf
日本国際クルーズ協議会(JICC)「国際クルーズ運行のための感染拡大予防ガイドライン(第2版)」(2023.2.27)
https://www.wave.or.jp/cruise/doc/jicc_guideline2_230227.pdf