愛犬家の63%
愛犬家の63%が「愛犬を連れて旅行に行きたい」と考えています
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アイペット損害保険が2024年3月に実施した「2023年のペットの支出に関するアンケート調査」によれば、ペットと旅行したいと考える飼い主は全体で約4割、犬の飼育者では63%を占めることが明らかになりました。
コロナ禍で在宅勤務が増えたことなどを背景に、犬や猫などのペットを飼う人が増えたといわれています。そのような時流をふまえ、ここ数年で観光事業者もペットと一緒に楽しめる旅行のあり方を模索している様子がうかがえます。たとえば、2022年5月に行われたJR東日本グループと株式会社PETOKOTOによる「ペット専用新幹線」の実証実験では、移動中にペットをケージから出して過ごすことができる「ファミリータイム」を設けるなど、“家族の一員”として旅行を楽しむ方法の検討が進められました。また、宿泊施設の一部では、一緒の部屋に宿泊できるだけでなく、ペット専用の食事メニューやアメニティを用意して、お客様としてもてなすサービスも展開され始めています。
一般社団法人ペットフード協会の「令和5年(2023年)全国犬猫飼育実態調査」によると、2023年における全国の犬・猫の推計飼育頭数は、犬が684万4千頭、猫が906万9千頭、あわせて1,591万頭でした。この数字は、同年における15歳未満の子どもの人口1,417万人を超える数字となっています。少子化が進む中で、ペットを“家族の一員”として尊重し、共に過ごす方法を模索することは、観光産業においても避けては通れない課題でもあり、かつビジネスチャンスともいえるのではないかと考えます。同調査では、ペットを飼育することで家庭環境にも良い影響を及ぼすとされており、特に子供にとっては「表情が明るくなった」「家族との会話量が増えた」などの効用が示唆されています。筆者も実家で10年以上猫を飼っていますが、ふとした時に愛猫の写真が送られてくるだけで気持ちが安らぎますし、離れて暮らす家族とコミュニケーションをとるきっかけにもなっています。犬を飼っている方は、散歩中に他の飼い主と恋流することで、地域との繋がりが生まれたりすることもあるのではないでしょうか。
もちろん、すべてのペットが制限なく自由に観光することはなかなか簡単なことではありません。ペットが家族と同じように尊重されるようになってきたと言っても、動物アレルギーや苦手意識を持つ人々が肩身の狭い思いをすることは、本当の意味で共生とはいえないでしょう。飼い主には、自分のペットは旅行先に連れて行って大丈夫なのかを適切に判断できるリテラシーが求められますし、迎え入れる事業者にも相応の準備が求められます。
最近では、愛犬同伴OKの施設が検索できるだけでなく、しつけ認定の機能が備えられているようなアプリも登場しました。このようなサービスが広がることで、店舗や施設が犬同伴の顧客に対して、受け入れ可・不可の二択ではなく、飼い主のマナーと愛犬のしつけ習得レベルに合わせて入店許可の対応ができるといったことも期待できます。私たち人間が自分の価値観や旅行の経験値によって旅行先を選ぶのと同じように、ペットに対しても、その子の性格やスキルによって、自分も周りも居心地よく過ごせる状況を作りだせることが、ペットツーリズムも含め、共生のための鍵となりそうです。(HY)
<参考文献>
アイペット損害保険「ペットの支出に関する調査」(2024年3月実施)
https://www.ipet-ins.com/info/33660/
JR東日本スタートアップ株式会社 「日本初!新幹線を利用したペットツーリズム『わん!ケーション』ペット専用貸切新幹線・ツーリズムの実証実験を開始します」(2022/04/26)
https://jrestartup.co.jp/news/2022/04/71419/
一般社団法人ペットフード協会 「令和5年(2023年)全国犬猫飼育実態調査」
https://petfood.or.jp/data/chart2023/index.html
総務省統計局人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2023np/index.html