ホテル投資意向で欧州1位
スペインは、欧州ホテル投資意向で投資家から最も魅力的な投資先として1位になりました
- Source
- CBRE 2024年欧州ホテル投資意向調査
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世界大手事業用不動産サービス会社のCBREが発表した「2024年欧州ホテル投資意向調査」によれば、スペインはホテル投資の分野で欧州トップに立ちました。以前まで主要な投資先だった英国を超え、最も人気のある国として注目を集めています。
スペインの中で、特に注目されているのがマドリードです。同調査では、パリを上回る2番目に投資家に人気のある欧州都市となっています。マドリードは特にラテンアメリカからの国際的な資本の関心を引いており、マーケットセグメントの中ではラグジュアリーカテゴリーについて、8割の投資家が魅力的(「最も魅力的」と「やや魅力的」の合計)と評価しています。
スペインの首都であるマドリードの人口はおよそ333万人で、東京の約4分の1です。2023年には約1,060万人が訪れ、そのうち54%が海外から、46%が国内からの観光客でした。累計宿泊数は2,200万泊に達しています(*1)。Asociación Empresarial Hotelera de Madrid(マドリードホテルビジネス協会)が独自に行っている制度では、40軒もの五つ星ホテルが登録されています(*2)。
例えば、「フォーシーズンズホテルマドリード」は、マドリード中心部の歴史的建造物である元銀行の支店を改装し、2020年に開業しました。これは、建築基準や文化財保護など複雑な要件をクリアした大規模なもので、8年にも及ぶ工事期間と推定6億ユーロ(日本円で約771億円)をかけて完成しました(*3)。ほぼ全ての客室には、地元の芸術家による装飾作品が飾られており、ラグジュアリーホテルとしての役割に加えて、マドリードならではの芸術と歴史を感じられる特別な体験が提供される場所としても人々に親しまれています。
また、「ホテル リッツ マドリード」はプラド美術館の目の前という最高の立地条件にあり、110年の歴史を持つ建物を3年間かけて推定9,900万ユーロ(日本円で約124億円)を投じて改装し、2021年に「マンダリン オリエンタル リッツ マドリード」として再オープンしました(*4)。
さらに、スペインと言えば、歴史的な建築物を利用した国営ホテル「パラドール」が有名です。マドリード近郊の世界遺産の街アルカラ・デ・エナーレスには、17世紀に建てられた修道院を改装した「パラドール・デ・アルカラ・デ・エナーレス」があり、人気の宿泊先となっています。
このように、伝統的な文化や歴史、アート、フラメンコ、グルメ、スポーツに加えて、急速に発展するホテル市場もマドリードの新しい魅力の一つとなっています。当社が2023年に実施した調査では、今後海外旅行でホテルに「費用をかけたい」と回答した人が41.3%に上り、「節約したい」と答えた17.3%を大きく上回りました(*5)。マドリードのように豊かな滞在体験ができる場所は、旅行の新たな目的地として今後も多くの人々を引きつけ続けるのではないでしょうか。(WF)
*1 Madrid Destino 「MADRID IN FIGURES 2023」
https://www.madrid-destino.com/sites/default/files/2024-02/Madrid-en-cifras-2023-ENG.pdf
*2 Asociación Empresarial Hotelera de Madrid(マドリードホテルビジネス協会)
https://aehm.es/en/associates/
*3 TravelAge West
What It’s Like to Stay at the New Four Seasons and Mandarin Oriental in Madrid
https://www.travelagewest.com/Travel/Hotels/Four-Seasons-Hotel-Madrid-Mandarin-Oriental-Ritz-Review
*4 Hospitality ON
The Mandarin Oriental Ritz Madrid reopens in 2021
https://hospitality-on.com/en/marketing/mandarin-oriental-ritz-madrid-reopens-2021
*5 JTB総合研究所 「海外旅行実態調査」