日本全国に370枚以上

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日本各地に広がりを見せるポケモンマンホール蓋「ポケふた」の設置枚数が370枚以上。

日本各地に広がりを見せるポケモンマンホール蓋「ポケふた」の設置枚数が370枚以上。
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ポケモンマンホール『ポケふた』

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近年、人々が街中で目の前にある建物ではなく、地面にスマートフォンを向けて写真を撮っている姿を見かけます。しかも、日本人のみならず、訪日外国人の姿も数多く見受けられます。そこで彼らが撮影しているものが「マンホール蓋」です。
 そもそも、マンホールは「下水道管を維持・管理していくために、人が入って下水道管の清掃や目視での点検ができるように設置しているもの」1)です。つまり、マンホールは日常生活を支えるインフラの一部であり、デザイン性に富んでいる必要性はありません。しかし、従来のマンホールの枠組みを超えた「デザインマンホール蓋」が続々と設置されています。デザインマンホール蓋とは、それぞれの地域の特色を生かした個性的なデザインが施され、地域の有名な風景や施設、有名人物などが描かれたものです。横浜市では「地域の活性化や横浜への誘客」を目的として、観光名所や球団キャラクターのデザインマンホールを設置し、ホームページ上で設置場所などをPRしています 2)
 数あるデザインマンホール蓋の中で近年特に有名なものが、ポケモンマンホール「ポケふた」3)です。これは株式会社ポケモンが展開している活動で、地域に関連性のあるポケモンのイラストがマンホール蓋にデザインされたものとなっています。2018年に鹿児島県指宿市に設置したことから始まり 4)、現在(2024年10月10日時点)では日本全国に計378枚のマンホール蓋が自治体に寄贈されています 3)
 また、株式会社ポケモンはマンホール蓋の寄贈に留まらず、ポケモンというキャラクターコンテンツを用いて地域全体の活性化を図っています。現在、1道10県において「ポケモンローカルActs」5)という活動を実施しており、マンホール蓋の寄贈に加えて自治体と連携した施策を実施し更なる地域への訪問・周遊動機を生み出しています。
 例えば、北陸新幹線の延伸で話題になっている福井県では、2023年10月にドラゴンポケモンの「カイリュー」が「ふくい応援ポケモン」に任命され、観光大使的存在となっています。具体的な施策としては、カイリューのデザインが施されたマンホール蓋を福井県内に計11枚設置、カイリューと地元産品を組み合わせた商品開発、ラッピング電車の運行、スタンプラリーイベントなどを実施しています。このように地域固有の資源とポケモンというキャラクターコンテンツを組み合わせ、人々を誘客する力を最大限引き出すことに努めています。 
 ここまで述べてきたように、デザインマンホール蓋は魅力的な観光資源になる可能性を秘めているといえます。しかしながら、単に設置するだけではなく、ポケふたのように様々な地域の資源や施策と組み合わせながら継続的に訴求していくことで、単なるインフラの一部から地域活性化に大きく貢献する資源に「進化」していくのではないでしょうか。(sでん)

(筆者撮影:各地のポケふた 上野、仙台、京都、伊勢)


 
<参考文献>
1)藤沢市「マンホールは何のためについているの?」
https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/faq/gesui-ka/machizukuri/gesuido/koji/010.html
2)横浜市「横浜市のデザインマンホール蓋」
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/kasen-gesuido/gesuido/koho/designmanhole.html
3)株式会社ポケモン「ポケモンマンホール『ポケふた』」
https://local.pokemon.jp/manhole/
4)指宿市「イーブイマンホール周遊マップ2019」
https://www.city.ibusuki.lg.jp/main/uploads/kanko/docs/イーブイマンホール周遊マップ2019.pdf
5)株式会社ポケモン「ポケモンローカルActs」
https://local.pokemon.jp/