29歳以下だけが増加
デジタルカメラの普及率が、29歳以下の層だけ微増しました
- Source
- 内閣府 消費動向調査
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スマートフォンでの写真撮影が当たり前となった今、デジタルカメラは過去の遺物になりつつあるのでしょうか。 実はそうとも言いきれません。内閣府の消費動向調査によると、デジタルカメラの世帯普及率は全体では確かに減少傾向にありますが、2024年調査では、29歳以下の層で微増傾向に転じました。この背景には、近年のレトロブームの影響で、コンパクトデジタルカメラなどが見直されていることが挙げられるといわれています。スマートフォンにはない、アナログな質感の写真や、個性的なデザインが、若者を中心に新鮮に映っているようです。

出所:内閣府 消費動向調査よりJTB総合研究所作成
このデジタルカメラ回帰のようなレトロブームは、旅行・観光業界にもみられます。例えば、昭和レトロな雰囲気漂う商店街やノスタルジックな街並みが残る温泉街では、街歩きを楽しむ若者で賑わいを見せているところもあります。一昔前にはおじさんの聖地だったような純喫茶には、若者が行列をなしていることも珍しくありません。赤ちょうちんや「〇〇横丁」のような、昔ながらの日本の飲み屋街も、その独特の雰囲気が若者だけでなく、インバウンド旅行者にも人気です。
このように、地域に眠るレトロな魅力を発掘し、誘客につなげようという取り組みは全国で行われています。群馬県富岡市では、「富岡レトロマンス」と銘打ち、袴姿での街歩きやレトロな写真撮影体験等を提供し、注目されています。
デジタルカメラを通して体験を共有する…そんな若者文化からは、単なるノスタルジーやレトロといった一過性のブームを超えて、「懐かしさ」が現代風にアップデートされているようにもみえます。「懐かしさ」以外にも、若者によってアップデートされる文化が、これからも旅行や観光の新たな可能性も切り開いていくのかもしれません。(お)