カボタージュ
かぼたーじゅ / cabotage
カボタージュとは、国家主権・安全保障の観点から、自国内の貨物又は旅客の輸送は、自国の管轄権の及ぶ自国籍船に委ねるべきとの国際的な慣行として確立した制度。
航空輸送のカボタージュとは、外国航空会社が国内の2地区間を運航すること。シカゴ条約(国際民間航空条約)第7条で、外国の航空会社に対し自国の領域内で運送許可を与えない権利(カボタージュを規制する権利)を有することが決められている。資本力のある外国会社に国内市場が奪われることを避けるため、ほとんどの国で外国の航空会社に自国内の運送許可を与えないように規制がかかっている。EU圏内は市場統合により航空自由化が実施され、1997(平成9)年にカボタージュ規制が撤廃された。
海運のカボタージュは、国内の港間の旅客、貨物の沿岸輸送をいう。日本は国際慣行上確立された考え方に基づき、船舶法第3条において外国船舶によるカボタージュを原則禁止し、日本籍以外の船舶が、日本各港間で旅客や貨物を輸送してはならないと規定している。日本を発着する外国籍のクルーズ船が、途中で韓国の釜山や台湾の基隆(台北)に寄港するのはカボタージュ規制を回避するためである。