インバウンド
いんばうんど / Inbound
インバウンド(Inbound)とは、外国人が訪れてくる旅行のこと。日本へのインバウンドを訪日外国人旅行または訪日旅行という。これに対し、自国から外国へ出かける旅行をアウトバウンド(Outbound)または海外旅行という。
印象派に影響を与えた日本絵画や、戦後の一世を風靡した映画などを通じ、欧米人の日本文化への憧れは強かったものの、20世紀後半、日本は「遠い、高い、分からない」国といわれ、日本へのインバウンドは大きく伸びることはなかった。変化を見せたのは21世紀になってから。観光関連の民間企業で作るツーリズム産業団体連合会(後に日本観光振興協会と合併)を始めとした観光業界の様々な活動が功を奏し、観光立国を国の重要な施策の一つに掲げた観光立国推進基本法が施行され、その翌年の2008(平成20)年には観光庁が設置された。これら一連の動きの中で官民挙げて様々な振興策が取られ、訪日外国人旅行者数は2013(平成25)年以降急増した。2005(平成17)年に670万人であった訪日外国人旅行者数は、2015(平成27)年には1,973万人を数え、実に1970(昭和45)年以来45年振りに、訪日外国人旅行者数が日本人海外旅行者数を上回ることになった。訪日外国人旅行者急増の大きな要素は、ビザ要件の緩和、免税措置を始めとしたビジット・ジャパン事業の展開、円安基調、近隣諸国の観光旅行の緩和や解禁などがあげられる。
観光庁の調査によると、2015(平成27)年の訪日外国人1人当たりの旅行支出額は176,168円、旅行消費額は3兆4,771億円と推計されている。日本経済への影響も大きく、観光業界のみならず百貨店を始め多くの業界から注目されるようになった。中国人観光客の購買現象を表した「爆買い」が流行語大賞にノミネートされ、民泊が国家戦略特区の施策になるなど、インバウンドの隆盛が新たな社会現象を生み出し、連日のようにメディアに取り上げられるようになっている。