海外観光旅行の現状2017

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結果概要

  • 海外観光旅行の質の変化
    • 日本人の海外旅行先はアジアへのシフトが進む。特に若い世代では海外旅行と言えば学生時代から韓国や台湾など「近距離」の傾向が見られる。
    • 直近の旅行形態はFIT(個人手配旅行)が55.1%。スケルトンツアー(自由行動型ツアー)も含めると約8割は旅行先で自由行動。
    • ライフスタイルの多様化で、自分のスタイルを崩さない消費行動にシフト。同行者と現地集合・解散など別行動を取ったことがある経験割合は、海外旅行でも国内旅行と同程度の27.3%(国内旅行28.3%)に上り、行程のフレキシビリティーが重要に
  • 直近の海外観光旅行
    • 直近の海外観光旅行の申し込み先は69.1%がインターネット。
    • インターネットでの旅行商品申し込み割合がやや低く、店舗申し込みが多いのは、18-39歳女性と60歳以上女性。特に若い人ほどインターネットで困った経験も多い。操作性や煩雑さ、表示のわかりにくさなどに不満。インターネットで申し込まない理由は「選択肢がありすぎてわからない(18-29歳25.2%、全体20.5%)」
  • 海外観光旅行のコア層とライト層
    • 経済や社会環境に応じて海外旅行者数は増減するが、環境に左右されず安定的に海外旅行へでかける「海外旅行コア層」は存在する。一方、海外旅行者数が大きく増える「ブーム」の際は浮動票ともいえる「海外旅行ライト層」の割合が上昇
    • 海外旅行コア層は、国内旅行の頻度も高い。2016年国内旅行平均回数は3.3回(全体2.0回)
      海外旅行コア層に多い価値観タイプはイノベーターである「高アンテナ」と「体験重視」。コア層からの誘いが活発になるとライト層が動き、海外旅行者数が増える可能性も。
    • 海外旅行コア層は情報感度が高く、「その国ならではの文化が感じられる宿に泊まりたい」「知られていない場所や土産物を自分で探して見つけたい」。「地域の日常生活に触れたい」「ホームステイなどで地域の人と触れ合いたい」など海外旅行先の人々との積極的な触れ合いも求める。

(株)JTB総合研究所(東京都港区 代表取締役社長 野澤 肇)は、「海外観光旅行の現状2017」の調査研究をまとめました。当社は生活者の消費行動と旅行に関する調査分析を多様な視点で継続的に行っています。

日本人の海外旅行者数は2012年の過去最高の1,850万人をピークに減少し続けていましたが、2015年に底を打ち、2016年には前年比5.6%増の1,711万人と上昇に転じました。2017年1月から4月までの平均伸率も7.1%と順調に推移する一方で、旅行商品ブランドの取り扱い人数は2016年12月~2017年2月まで前年割れが続いています(*)。海外旅行者数の増加に相反してブランド取り扱い人数が減少しているという、市場との乖離は商品が今の旅行者のニーズと違うことを示しているといって良さそうです。

海外旅行商品の企画には、為替や運賃ルール、世界市場における航空座席や宿泊の供給環境など、これまで多くの要素が影響してきました。さらにITの普及で流通システムが大きく変わり、新しいビジネスモデルの参入により、旅行分野での競争が激化しています。一方、市場分析は従来から業界内の事情が中心です。人々の価値観やライフスタイルが社会の変化とともに多様化する中、消費者としての旅行者の行動やニーズに、私たちは真に向き合っているかという点では検証の余地がありそうです。

本調査では、今の旅行者のニーズをつかむヒントを探るために、あまり環境に影響されることなく安定的に海外観光旅行に出かけるコア層と、そうではないライト層との違いを新たな着眼点として取り入れ、現在どんな人がどんな旅行を行っているのか、より詳細な旅行者の可視化を試みました。その一部を紹介します。

(*)出典:日本政府観光局(JNTO)「出国日本人数」観光庁「旅行商品ブランド(募集型企画旅行)の取り扱い状況」

調査・研究結果 本文

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調査概要

調査方法
インターネットアンケート調査
スクリーニング調査対象者
全国に居住する18~79歳の男女 40,000人へのインターネットアンケート調査
本調査対象者
スクリーニング調査対象者の中で、2016年1月以降に海外観光旅行(ビジネス旅行を除く)をした人 2,060名
調査期間
2017年5月8日~5月15日

調査に関するお問い合わせ

株式会社JTB総合研究所
調査・分析担当:早野、波潟
広報担当:早野・三ツ橋・波潟 
03-6722-0759
URL: www.tourism.jp