デジタルノマドの日本誘致に向けた実態調査を実施
~デジタルノマドには、よりよく生きるためにノマド生活を選択する「ライフ重視型」と仕事が中心の「ワーク重視型」が存在。日本誘致でキーになるのは「ライフ重視型」か。~
結果概要
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国際的なリモートワーカー(いわゆるデジタルノマド)は、より良く生きるためにノマド生活を選択する「ライフ重視型」と、より良い仕事を求めて移動する「ワーク重視型」が存在。その間でトライアルをしている自分探し層も。
- 「ライフ重視型」は、その土地ならではの生活や体験、交流に期待し、気に入った場所での滞在期間は長いが、多様なライフスタイルを試すために積極的に移動を行う。
- 「ワーク重視型」は、スタートアップのために働きやすい環境を求め、ノマド生活を送るが、働きやすい環境を見つけると定住する傾向にある。
- どちらかに属するほど意思が明確にはなっていないものの、ノマド生活に憧れ、自分に合った人生のスタイルを探すためにデジタルノマドのプログラムやイベントに参加している層も一定数存在すると思われる。
- ヨーロッパは「ワーク重視型」が多く、アジア、中央アメリカは生活のしやすさから「ライフ重視型」が多く滞在する傾向。
- 日本の都市は、大都市については平均的な評価であるものの、中都市~小都市の評価は平均以下。地方への誘致を見据える場合、受入環境の底上げが必要である。
- 日本は「安全性」、「インターネット回線の早さ」、「言論の自由」、「ホスピタリティ」などの項目で高評価だが、「ワーク重視型」で重視される「英語力」と「起業のしやすさ」では低評価。アクティビティやナイトライフの充実、多様性への配慮など、「ライフ重視型」で重要視される整備を行うことで、近隣アジア圏に来ているリモートワーカーを日本に取り込むことが日本へのデジタルノマド誘致のカギになる。
株式会社JTB総合研究所(東京都品川区 代表取締役社長執行役員 風間 欣人)は、デジタルノマドの日本誘致に向けた実態調査を実施しました。
デジタルノマドは、2023年5月に観光庁が発表した「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」で人的交流の促進として制度環境整備が掲げられる等、注目されています。しかし、「デジタルノマド」と呼ばれる人たちはどんな人たちなのか、その実態はあまりつかめていません。当社は2021年から継続的に、デジタルノマドに関する調査を実施してきました。2023年度に実施した本海外実地調査では、これまで「場所に縛られず旅するように働く、国際的なリモートワーカー」と一括りにされていたデジタルノマドには2区分あり、その目的によって移動の仕方も、滞在先に求める環境整備も異なることが分かりました。JTB総合研究所では、今後もデジタルノマドなど新しい旅行者の姿の本質を探る調査を実施していきます。
調査・研究結果 本文
調査概要
- 海外実地調査
- インドネシア(バリ島・チャングー、ハノイ)、スペイン(バルセロナ、マドリード)、ドイツ(ベルリン)、
イタリア(ローマ)等のコワーキングスペースを視察し、利用者やスタッフへのインタビュー調査を実施。
- 調査時期
- 2023年10月
- デスク調査
- 国際的リモートワーカーの情報発信サイト「Nomadlist」の分析を行い、人気のディスティネーション項目の整理を実施。
調査に関するお問い合わせ
株式会社JTB総合研究所 広報担当
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