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玲玲細語 ~中国人研究員が見て感じた日本と中国~

帰国した「旬の旧正月所感」

昨年から仕事の関係で中国出張が多く、広州、成都、上海など多くの都市を飛び回り、2月の春節にも故郷である瀋陽に1週間、帰省しました。そこで感じた、現地発の旬のお話をお届けしたいと思います。

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昨年の8月から仕事の関係で中国出張が多く、広州、成都、上海など多くの都市を飛び回りました。
交通アクセス、町の景色、サービスのレベルなどは、都市ごとに特徴がありながらも、すべての都市ともに発展し、大都市になりつつあるのは間違いありませんでした。とはいえ・・・あくまで個人的な感想ですが、課題に感じた点もあり、今回はそのあたりを紹介させていただきます。
 まずは、沿岸部にある広東省広州市。広東料理(飲茶)が相変わらず安くて美味しいです。特に最近流行っている牛肉鍋が全国でヒットし、広州で食べると他都市の7割の価格で、一人当たり2000円を払えばお腹が150%に満腹になります。一方、他都市と比べ、多くのお店のスタッフのサービスレベルが低いことが目につきました。そしていまだにメーターをつけないタクシーの多さ、十数年前と変わらない部分も広州らしい!と思ってしまいました。
 それから、内陸部にある四川省成都市。2007年に「成都、一度訪れたら帰りたくない都市」と言われてから、観光業をはじめ、急速に経済発展、2016年末では、成都市人口は2000万人を超えました。市内中心地の人口密度は、1.4万人/ 1km2です。人口規模から見れば、大都市の北京、上海とほぼ変わりません。急増した人口とともに、市内や郊外では、建設ラッシュが数年にわたって続き、高層ビルがどんどん建てられ、昔ののんびりした成都はどこかに消えてさびしい思いもありました。残されたのは、辛くて美味しい四川料理と可愛いパンダだけとならないように願うばかりです。
 上海は言うまでもなく、1843年開港して以来、中国の近代史とともに発展してきた大都市で、ハード面からソフト面までトップレベルにあることは間違いないでしょう。もちろん私の出身地の瀋陽は私の心の中では、世界一大好きな都市で変わりません(笑)。
 親孝行の一環として、今年の旧正月にも大枚をはたいて帰国の航空券を購入し、1週間の休みをいただきました。現地発の春節の旬のお話をお届けしたいと思います。

【2018年 旬の春節のお話】

旧暦1月6日のケーキ屋さんの一隅

写真1:旧暦1月6日のケーキ屋さんの一隅

中国では66歳の誕生日を迎える人は、65歳になる年の旧暦の1月6日に家族や友人を呼んで健康長寿を祝う風習があります。当然毎年たくさんの66歳がいるので、レストランの大人数個室は、半年前から取らないと予約を取れないことを今回の母親の誕生日で痛感しました。6日目の朝、あるケーキ屋さんの一隅ですが、ケーキがずらり並んでいます(写真1)。30年前までは、誕生日にケーキを食べる習慣がなかった中国ですが、ライフスタイルの欧米化によって誕生日に縁起が良いと思われるホールケーキを買って、誕生日の歌を歌って誕生日を祝うことがいつしか定着しました。
 また、外食産業の発展や経済発展により、家で料理を作って家族団楽の大晦日を過ごす文化から、大晦日でも外食する家族が今年で一気に増えたらしいのです。休日出勤の手当をあげても働きたいスタッフがいない、レストランやホテルに務めている知人は嬉しい悲鳴を上げていました。そして、大型商業施設・店舗の多くは、旧正月の2日目から営業開始です。

写真2は、地元のショッピングモールにある化粧品を中心に販売するドラックストアです。海外のブランドが多く販売されており、日本の蒸気マスクは入り口の目が届きやすいところにおいてあります。14個入りのパックの販売価格は、約1250円で日本と大差がありませんでした。越境ECの発達で海外旅行での買い物欲求が少しずつ低下していくことを感じました。

化粧品を中心に販売するドラックストア

写真2:化粧品を中心に販売するドラックストア

写真3は、日本スタイルをアピールしているネイルサロンです。価格表を取れませんでしたが、単価は日本とほぼ同水準で概ね3000円から1万円となります。

日本スタイルをアピールしているネイルサロン

写真3:日本スタイルをアピールしているネイルサロン

写真4は、施設のファーストフード広場の景色となります。広くありませんが、子供が遊べるスペースが確保されており、親は安心して食事を楽しめます。いかにお客様が訪れたくなる施設を作るか、ネットショッピングとの差別化を図れるか?という商業施設の経営模索が見られ、単なる不動産デペッローパーから変化しようとする姿が垣間見えました。

施設のファーストフード広場の景色

写真4:施設のファーストフード広場の景色

写真5は、同じファーストフード広場の入り口です。ここで記念写真を撮ることができます。ファーストフード広場で記念写真?と疑問を思うかもしれませんが、中国人が旅行先だけではなく、面白い!新しい!特別だ!と思うと、すぐに記念写真を撮ってシェアする人が多いですよ。

ファーストフード広場の入り口

写真5:同じファーストフード広場の入り口

今年の中国の旧正月での中国人海外旅行者数は延べ650万を超えたと発表された中、皆様のビジネスにおいて、2,3年前と比べ、中国人旅行者とのかかわりはどのように変わってきているでしょうか?中国人旅行者をはじめ、外国人旅行者向けの取り組みが、世界と比較された日本の魅力を知ってもらうには、競争から協創に向かうことが不可欠です。
 今後も業種・国籍などを超えた交流に期待します。