2013年5月、不特定多数の人が利用する古い大型施設に耐震診断を義務付けた改正耐震改修促進法が閣議決定されました。これに対して、歴史ある温泉街等で不安の声が高まっています。
対象となるのは、1981年6月1日以前に建てられ、不特定多数の人が利用する大規模(延べ約5,000平方メートル以上)な建物。主にホテルや旅館、病院などが該当します。耐震診断結果は自治体が公表し、工事が必要な場合には費用の一定割合を国や自治体が補助します。国土交通省は、全国で数千の施設が耐震診断の対象になるとみています。
ある温泉街の試算によると、耐震診断の対象となる全旅館で耐震工事を行った場合の費用は約100億円、市町村が補助すべき金額は10億円を上回ります。市町村財政への大きな負担、改修工事中の宿泊施設に対する資金や雇用維持のためのサポート、耐震診断結果公開による市場心理への影響など、議論すべきポイントは多く残されています。