株式会社JTB総合研究所は、2013年9月13日、『観光危機管理 考えるプロジェクト』研究会(第二回)を開催しました。
今回は、「東日本大震災時の対応事例を知りたい」「来訪外国人への対応策を検討するためのヒントが欲しい」という第一回研究会における参加者からのご要望を踏まえ、仙台市経済局国際経済・観光部 国際プロモーション課からゲストスピーカーをお招きし、東日本大震災時の対応事例、震災後更に強化された取組み等についてご紹介いただきました。
研究会概要
- ゲストスピーカーによる講演「観光危機管理 ~東日本大震災の経験から~」
- 在住外国人と来訪外国人(外国人観光客)に対する災害時対策事例の共有
- 発災時、被災後、復興期それぞれのフェーズで、外国人に与えるべき情報の内容とは
仙台市は、東日本大震災発生時に、観光客がどのくらい域内に居て、どのように守られたのかについての綿密な事後検証を行っています。調査により、「指定避難所が混雑しすぎていて入れなかった」「避難所ではない場所でも、受け入れて頂いて助かった」「○日後にこういうルートで帰宅できた」など、当日には把握しきれなかった人の行動や気持ちが明らかになってきています。検証結果を踏まえ、人の心理状態や発災時の行動パターンを想定した新たな避難所指定、災害ボランティアの強化など、反省を活かした防災基盤強化を進めています。
研究会では、「居住外国人」「外国人観光客」を対象とした各地域の取組み事例や、自治体等がこれらの取組みを行う、あるいは支援する際の担当課の業務分掌等について議論されました。東日本大震災以降、各地域で「災害多言語支援センター」の設置が推進され、各地域の市町村と密接に連携し、取組みの成果が徐々に蓄積されてきています。このセンターを管轄する部署は市民課、国際課など自治体によって異なりますが、近年はこれまで以上に観光課との連携が強化されてきています。研究会の参加者から発せられた“観光客を守るための取組みをどの課が先陣を切って行うかに決まりがあるわけではない。それが重要だ、不可欠だという強い認識がある課がやり始めればよい。”という言葉に、参加者の意識の高まりを強く感じました。