東日本大震災の当日、帰宅困難者が多く発生した東京では、数時間~翌朝にかけて携帯電話や携帯メールが繋がりにくく、大変不安定な状況となりました。その間、情報発信や知人との連絡に活用されたのがTwitterなどのSNSをはじめとするインターネットでした。回線やサーバーに被害が生じない限り安定的に活用でき、さらにスマートフォンの普及から、それぞれの場所にいる個人が同じ情報にアクセスすることはより容易になっています。
今、多くの地方自治体が、災害対策の一環として、こうしたインターネットを活用した情報収集・情報提供の基盤整備の強化を推進しています。福井県は、2013年11月18日より、FacebookとTwitterでの災害情報の配信を始めました。配信する内容は、警報や土砂災害警戒情報などの気象情報、津波情報、避難勧告など災害発生時のお知らせ、県危機対策・防災課からの防災啓発情報の四種類。これまで、登録制のメールマガジンで災害情報を配信していましたが、より簡便かつ即時閲覧が可能なツールを活用することで閲覧者数を増やすことが狙いです。全国で、Twitterによる災害情報発信をしている地方自治体は約30にのぼります。
大災害の発生時、最新の情報を広く公開できるウェブサイトは極めて有効な媒体です。しかし、その情報を求める人が一斉に全国、全世界から該当する地域の地方自治体ホームページにアクセスすることによってサーバーに多大な負荷がかかり、利用者が閲覧しにくくなったり、サーバーがダウンしてしまうことが想定されます。ヤフー株式会社は、災害発生時のサーバー負荷軽減を図ることを目的として、地方自治体と無償で災害協定を締結し、キャッシュサイトを活用した災害情報発信のサポートを行っています。自治体が発信する情報をキャッシュサイトに掲示するほか、Yahoo! JAPANの既存サービスと連動した避難所情報掲示や災害情報ブログページの提供など、地方自治体による更新と、利用者による閲覧の自由度を高めています。
確かに、インターネットは比較的“災害に強い”通信手段と言え、地方自治体における災害時のインターネット活用に関する取組みは強く推し進められている印象です。とはいえ、最も重要な対策は、情報収集・発信手段を複数確保しておき、それら複数のメディアが発信する情報の鮮度と内容の一貫性を厳密に管理運営するという点にあり、それを可能にする仕組みの構築が求められています。