7月1日、改正活火山対策特別措置法が国会で成立しました。活火山の周辺自治体や観光施設に避難計画策定を義務付けることなどが主な柱となっており、年内に施行される見通しです。
爆発的な噴火が見られた鹿児島県口永良部島や、小噴火の続く箱根山には、ホームドクターのような専門家が近隣地域に常駐していますが、このような体制を敷いている例は、110ある活火山のうちのごく一部にとどまります。気象庁が常時24時間体制で観測する火山は現在47、今秋までに50に増加します。これらの火山を対象として、「前兆がない(突然の)噴火」に対する備えを強化することが、今回の改正法の主な目的です。
常時観測が必要な火山周辺の自治体を国が「火山災害警戒地域」に指定、警戒地域においては、自治体や関係機関、専門家等で構成される「火山防災協議会」の設置が義務付けられます。「火山防災協議会」は、住民だけでなく観光客や登山者も対象にした避難計画を策定することになります。
”常時観測が必要な火山”の周辺には129の市町村がありますが、避難計画を策定済みの地域は20市町村程度。今後の取組のスピードアップが期待されますが、「ホームドクター」不在の火山周辺地域において、官民が連携した体制構築への合意形成の難しさ、避難計画策定に際して参画すべき火山専門家の不足など、体制整備に向けた課題も同時に浮き彫りとなっています。