10月4日、長野県松本市の美ケ原高原で、標高差のあるコースを登る時間を測り、登山に必要な体力を4段階に分けて判定するイベント「セルフチェック in 美ケ原」が同県山岳総合センターなどの企画で開催されました。最近、高齢者を中心に登山を楽しむ人が増加していますが、自身の体力に見合った山を選ばず、疲労やトレーニング不足からバランスを崩す「滑落・転倒」が目立っていると言われています。本年の7~8月の夏山シーズン中、長野県内で起きた山岳遭難は過去2番目に多い108件にのぼり、「滑落・転倒」が半数近い52件(48.1%)を占めており、今回のイベントは、自身の体力を客観的に把握し、事故を減らしてほしいという注意喚起の試みとなります。
イベントには県内外から46人が参加し、標高約1,410メートルの地点から、百名山である美ケ原山頂の王ケ頭(2,034メートル)まで登る時間を測定しました。鹿屋体育大学の山本正嘉教授(運動生理学)の理論に基づき、1時間で登る標高差を4段階に分け、体力を判定します。体力の判定には「メッツ」という単位を用いますが、立っている時のエネルギーを1メッツとすると、長野県内の山を登るには6~8メッツが必要とされるとのことです。
高齢者やトレーニング不足の若年層などが登山を検討する際に、行先の選択における客観的な判断基準を得られることは極めて有意義なことです。自身の生活圏で、登山に要する体力判定のセルフチェックが簡便にできる環境が整っていくことが期待されます。