2015年11月25日に東京・秋葉原で「新・公民連携最前線 円卓会議」が開催されました。分科会2のテーマは「安全・安心まちづくり」。相次ぐ大きな自然災害を踏まえ、官民における防災への取り組みは進化してきましたが、一方で組織や人の連携など解決すべき課題も残されています。防災対策を街の価値創造へといかに結びつけるかについて、議論が交わされました。
官民連携のみならず、自治体組織内の各課連携や組織間の連携も極めて重要な「取組のファーストステップ」です。一方で、組織や地域住民における災害に関する記憶風化との戦いも課題です。神戸市は、災害を受けた地域へ意識的に職員を派遣し、阪神淡路大震災の痛ましい経験で得た体感を何十年たっても組織として風化させないようにしており、記憶を維持させる取り組みの重要性が共有されました。
日本では、建築や砂防・土木など個別の技術は非常に進んでいますが、それを地域レベルで横につなぎ、総合的にパッケージングする作業の水準が極めて低く、今回の会議のように、異なる分野の人と重なりをもって議論する場をつくることが、イノベーティブな発想を生みだす近道だ、という指摘もありました。
災害対策や復興対策は稀にしかに来ないものに対する準備であるため、時代の流れからより早く取り残されて陳腐化しがちです。そのため時代と制度・技術等とのミスマッチが生じ、そのギャップが大きくなる懸念もあります。民間企業の有する最新の技術、災害に対する対応の最新事例などを広い分野で共有し、現状と課題を整理し、ひとつずつ緻密に、「対策の穴」を埋めていく作業を地道に継続していくことが重要です。