JTB総合研究所の「考えるプロジェクト」 

外国人の緊急医療対応力強化に向けた医療通訳の育成支援(厚労省)

2014.01.14 JTB総合研究所 

2013年、訪日外国人数は初めて年間1,000万人を突破しました。これを受けて、厚生労働省は2014年度に、外国人の急病やけがの際の受診を手助けする「医療通訳」の育成支援を強化します。

現在は公的な資格がなく、民間団体などが個々に育成を担っているため、取り組みの積極性や費用負担の仕組みに地域差があり、国内で統一されたシステムが存在しないのが実情です。
京都市は2004年度以降、NPO法人「多文化共生センターきょうと」などと連携し、英語、中国語、韓国・朝鮮語の通訳を4病院に派遣しています。通訳として登録されているのは通訳を本職とする方のほか、会社員、主婦等も含まれます。費用は1回3,000円で、市と病院が半分ずつ支出し、患者本人の負担はありません。利用件数は、在住外国人を中心として年間約1,500件程度となっています。また、神戸市でも、NPO法人「多言語センターFACIL(ファシル)」が市や3病院と連携して医療通訳を派遣していますが、通訳への報酬5,000円のうち、1,500円を患者が、残りを病院が負担しています。

医療通訳士協議会(事務局・大阪大)によると、医療通訳は全国で2,000人以上存在するものの、大都市部や国内在住外国人が多い地域に集中しており、外国人の“旅行者”を対象とした取り組みは途上にあると言えます。日本を訪れた外国人が安心して医療を受けられる体制を強化するため、厚労省は2014年度、医療通訳の育成・派遣の支援を開始します。大学病院やNPOなど育成機関への費用補助のほか、育成カリキュラムの作成も予定しています。

2014.01.14JTB総合研究所 

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