世界最古の木造建築を1,300年以上にわたり災害や事故から守り続けている法隆寺。法隆寺と斑鳩町は、震度6強の地震を想定して、12月15日に同寺の境内で観光客の避難誘導訓練を行いました。
前年12月に法隆寺と斑鳩町は、災害発生時に同寺が住民や観光客の緊急避難場所として境内を利用することを可能にする協定を結び、今回の訓練は協定締結後、初めて実施されたものです。
西院伽藍前では、地震が起きてうずくまり、カバンで頭を守るなどの基本的な行動を確認する「シェイクアウト訓練」を1分間行い、揺れが収まったあと、参加者は緊急避難場所の南大門前広場(約4,000平方メートル。1平方メートルに1名程度収容と仮定すると、3,500~4,000名を収容可能)に移動しました。
同訓練では、消防団や観光ボランティアなど20団体120人が参加し、うち約80人が「観光客役」となりました。一方で、国内外の他地域では、実際に、観光中の観光客や偶然居合わせた住民などに声掛けし、実際に訓練に参加いただくケースも増えてきています。その日の避難訓練シナリオや、慣れない土地での緊急避難場所とそこまでの経路を知らない「よそ者」を訓練に巻き込むことで、訓練の有効性をより現実に近い状態で検証することが可能となります。今後、国内の多くの観光地において、「訓練シナリオを知らない人」「その土地に不慣れた人」が参加する避難誘導訓練の実施が活発化することを期待します。