2月23日、KDDI株式会社は岐阜県大野郡白川村との地域活性化推進に向けた相互協定を締結すると発表しました。山間部を中心に電波環境の改善をはじめとしたITインフラの整備を共同で進めます。電波環境の悪い地域の多くは、災害リスクの高いエリアに位置しており、観光危機管理という観点でも大きな発展が期待できる取組といえます。
白川村は世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」を擁する観光地であり、国内外から多くの観光客が訪れる人気スポットです。そこで最も大きな課題の一つとされていたのが、山間部における携帯電話の電波環境の悪さです。スマートフォンで写真を撮り、SNS上で共有する、という観光行動が一般的になっている今日、有名観光地における通信環境の悪さは観光客の満足度に大きく影響すると考えられます。
また、電波環境が悪いという点は、観光危機管理上でも大きな問題を抱えていることを意味しているといえます。山間部で地震・土砂崩れといった自然災害が発生した場合、地域住民や観光客に大きな被害をもたらす危険性があります。通信環境が悪く、外部とのコミュニケーションをとることができない場合、さらに大きな被害につながることが予想できます。
通信キャリアの立場からすれば、人口・利用者の少ない地域での通信インフラ改善はコストに見合わず、積極的な整備をすすめることは難しいというのが現状です。しかし、観光客の流入を含めた交流人口という視点で考えた場合、山間部などの条件不利地域における整備も観光立国として重要な取組の一つといえます。日本全国で同様の取組が広がれば、日本中どこであっても安全・安心な旅行を楽しむことができるようになるでしょう。