いまを知る
観光危機管理に関わる「いま」をお伝えします。自治体や観光事業者の危機管理の現場、最新のトレンド、制度面の動向等をコラム形式で綴ります。
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2013.11.25
JTB総合研究所
京都府の外郭団体・府国際センターは、府内の在住外国人を対象に防災アンケートを実施しました。(2012年11月~2013年1月実施、有効回答506)
災害に対する意識について、地震は「とても不安」「やや不安」の合計が58.0%と、日本人が90%以上であることと比較すると、外国人住民の災害に対する危機意識の低さが明らかになりました。他にも、避難所を知らない人が過半数であることや、避難場所として自身が日常生活で慣れ親しんでいる「教会」「会社」を上げる人が多いなど、災害対応に関する基礎的な知識・行動の浸透度合いにばらつきが見られ、防災に関する意識醸成や正しい知識の伝達が課題とされました。
同センターでは、日本における災害の特徴や避難方法、災害時に使う簡単な日本語についての研修や訓練を行う方針を示しています。
「京都府外国人住民に向けた防災についてのアンケート調査報告書」
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2013.11.13
JTB総合研究所
枚方市内のNPO法人「枚方市手話通訳協会」が、ろう者向けに手話と字幕を活用し、一部をドラマ仕立てにした防災対応推進のためのDVDおよび防災マップを制作しました。
ろう者にとって、「避難所」「初期消火」などの防災に関わる専門的な漢字や単語・文章などの理解はハードルが高く、正確に理解・表現することができない人も少なくありません。漢字を手話で訳した辞書や教材が少ないことも背景にあるようです。DVDやマップでは、災害時に取るべき行動や防災に関する考え方の本質を理解できるようにするため、専門用語を分かりやすい言葉に置き換えるなどの工夫がなされています。例えば、市の防災マップでは、「テーブルの下にもぐり込む」を「机の下にいる」へ、「初期消火」については「小さな火は消す。大きな火は逃げる」にそれぞれ表現を変更しています。同協会では、防災DVDと防災マップなど300セットを、枚方市内のろう者から希望があれば無料で配布するとしています。
NPO法人枚方市手話通訳協会ブログ
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2013.11.02
JTB総合研究所
日本、中国、韓国が防災協力の強化について協議する防災担当閣僚級会合がソウル市内で10月30日に開催されました。日中韓3カ国の閣僚級会合は、今年の9月下旬に韓国・光州で文化相会合が開催されて以来となります。出席者は、西村内閣府副大臣(日本)、顧朝曦民政省次官(中国)、南相浩消防防災庁長(韓国)ら。
3カ国は、各国でこれまでに起きた災害の事例や対応策などをまとめた報告書をそれぞれ発表しました。その後、防災分野での3カ国協力の重要性の確認、防災技術と情報の共有促進や、地震、台風など大規模災害に備えた合同訓練の定例化を盛り込んだ共同声明を採択する見通しです。
同会合は2008年12月の日中韓首脳会談で、3カ国が持ち回りで開催することに合意したもので、2009年に神戸で第1回会合を行って以降2年ごとに実施しており、今回が3回目。
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2013.10.14
JTB総合研究所
観光庁は2013年10月11日、災害時における訪日外国人旅行者への情報提供のあり方に関するワーキンググループを開催しました。災害時に訪日外国人旅行者に対し、迅速かつ正確な情報を提供する体制の構築を目的として2012年から検討が続けられており、「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関する検討会」内に設置されています。
2014年3月末までに、訪日外国人旅行者への情報提供のあり方について、アプリなどのIT技術を活用した方法を議論するほか、災害時に外国人を誘導するためのマニュアル作成を推進していくとのことです。これに加えて、都道府県や市区町村の地域防災計画に、訪日外国人旅行者への対応を記載するための指針についても検討される予定です。
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2013.10.02
JTB総合研究所
災害対策の標準化とそのあり方を検討する「災害対策標準化検討会議」の第1回会議が、2013年10月1日、内閣府で開催されました。
災害対策に関して、国や地方自治体などの各機関が連携して対応にあたることの重要性を踏まえ、これを実現するための対策標準化を進めるねらい。内閣府は、国の各省庁間はもちろん、地方公共団体や民間企業、住民、NGO/NPOを含め、あらゆる機関が連携していくことが重要課題であるとし、今年6月に閣議決定された経済財政運営の基本方針には「災害対策の標準化」に向けた検討を進めるという内容が盛り込まれています。
災害対策の標準化については、アメリカがNIMS(米国インシデント管理システム)」という制度に基づいて、危機対応の組織や指揮調整の手法を国家として統一しています。このほか、2011年にはISO(国際標準化機構)が危機対応の国際標準規格ISO22320を発表しており、同規格は今年10月21日にJIS化される予定。
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2013.09.19
JTB総合研究所
気象庁は2013年9月17日、注意報や警報などの防災気象情報について、重大な災害が発生する可能性に応じて5段階のレベルに分ける「気象警戒レベル(仮称)」を導入することを決定しました。従来の警報・注意報と比べて災害発生可能性をわかりやすくし、迅速な避難行動などの対応への判断基準を明確にすることがねらいで、2016年度からの運用開始を目指しています。
素案では「重大な災害の発生する可能性」がある状態を危険度が最も低いレベル1とし、「重大な災害が覚知され、さらに拡大する」状態を最も危険度が高いレベル5と設定。現状の注意報はレベル2、警報はレベル3、特別警報は「重大な災害の発生する恐れが著しく大きい」レベル4としています。また「ただちに命を守る」緊急対応(レベル4、5)など、各レベルに応じた行動も定めることとしています。
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2013.09.13
河野まゆ子
JTB総合研究所 主席研究員
株式会社JTB総合研究所は、2013年9月13日、『観光危機管理 考えるプロジェクト』研究会(第二回)を開催しました。
今回は、「東日本大震災時の対応事例を知りたい」「来訪外国人への対応策を検討するためのヒントが欲しい」という第一回研究会における参加者からのご要望を踏まえ、仙台市経済局国際経済・観光部 国際プロモーション課からゲストスピーカーをお招きし、東日本大震災時の対応事例、震災後更に強化された取組み等についてご紹介いただきました。
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2013.09.02
JTB総合研究所
気象庁は、津波・地震・大雨の恐れがある際に「警報」の発令を実施してきました。8月30日からは、従来通りの「警報」に加え、警報の発表基準をはるかに超える豪雨や大津波等が予想され、重大な災害の危険性が著しく高まっている場合に「特別警報」の発令をおこないます。
特別警報は、数十年に一度しかないような大規模な災害の発生が予想される場合にのみ発令され、発令場あった場合は、発令地域の住民等に対し、「ただちに命を守るための行動をとる」ことが求められます。
東日本大震災発生時、気象庁は大津波警報などを発令して避難を呼びかけましたが、それが必ずしも迅速な避難に結びつかなかったことから、今回の「特別警報」を導入しました。従来の警報とは異なる基準を設けることで、地域住民・滞在者への迅速な避難を呼びかけます。
気象庁 特別警報について
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2013.08.20
JTB総合研究所
関東大震災から2013年9月1日で90年になるのに合わせ、多くの被害者が出た墨田区横網2の横網町公園(旧陸軍被服廠(ひふくしょう)跡)で同1日から8日まで「関東大震災90周年首都防災ウィーク」が開かれます。9月8日には、「関東大震災復興から学ぶまちづくり」、「関東大震災90年、今、何をなすべきか?」等をテーマとして、首都防災をテーマにしたフォーラムが開かれます。関東大震災の被災者や災害の専門家を交え、交通インフラの耐震化や、災害に強い街づくりに関するシンポジウムや相談会が実施されます。
関東大震災は、1923年(大正12年)9月1日午前11時58分に発生。マグニチュード7.9の巨大地震が東京を襲い、約10万5,000人の死者を出しました。そのうち約9割が大規模火災の際に発生する竜巻「火災旋風」などを含む火災によるものでした。
首都防災ウィーク
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2013.08.09
JTB総合研究所
2013年8月7日、大日本印刷(DNP)は、デジタルサイネージ向けに防災情報・緊急地震速報などの情報を配信するサービスを開始したと発表しました。同サービスは2011年にDNP、日本テレビ、ダイドードリンコの3社が共同開発した、地上デジタルデータ放送とインターネットの双方に対応したデジタルサイネージ一体型飲料自動販売機を情報チャネルとして活用します。
今回、「災害情報配信デジタルサイネージ自販機」として、出光興産の特約販売店である共栄オーメックの柴又サービスステーションに設置し、運用を開始した。災害時の帰宅困難者や地域住民などへの「休憩場所・トイレの提供」や、「災害関連の情報提供」、そして災害対応ベンダーとして「飲料の提供」の役割を担います。
大日本印刷(DNP)ニュースリリース「デジタルサイネージ向け災害情報配信サービスを開始」
JTB総合研究所では観光危機管理の実務支援を行っています
観光危機管理マニュアルの策定支援、現状把握調査、セミナー・シンポジウムの実施等、行政や企業での
豊富な実績とノウハウをもとに、観光危機管理の支援・コンサルティングを行っています。